こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

税理士になる前、税務署に7年勤めていました。その前は市役所に14年勤めていました。

確定申告と住民税申告、両方とも作成相談を受けた経験があります。

住民税申告で「収入無し」としていた人が、税務調査で所得が発覚した場合どうなるでしょうか。

確定申告と住民税申告の関係

確定申告は、税務署へ提出する所得税の申告です。税務署は国の組織で、所得税は国税です。つまり、国に対する申告です。

対して住民税は地方税、つまり市区町村の税金で、市区町村に対して住民税の申告書を提出します。

確定申告を税務署に行うと、その内容は市区町村へ自動的に送られる仕組みになっています。そのため、確定申告をした人は住民税申告をする必要はありません。

確定申告は、申告した結果納税になる人、還付になる人、納税にも還付にもならない人、とありますが、納税になる場合でも確定申告をしなくていいケースがあります。
このような場合、確定申告をしないことで控除が受けられず、住民税が損をしてしまうことがあるため、住民税申告をする必要が生じます。

その他、収入が無い人や非課税所得しかない人も、国民健康保険や介護保険の軽減・減免に必要といった理由から、「収入がない(又は非課税所得しかない)」という住民税申告をすることがあります。

収入がない住民税申告は生活基盤を記載

市役所の市民税課に在籍していた時、「収入がない」という申告をたくさん受けました。私がいた市役所では、このような場合申告書の裏面に「どのように生活していたか」を記載してもらっていました。

誰かの扶養や仕送り、非課税所得(遺族年金など)などと書いてもらうのですが、一番多かったのが「貯金で」。

「貯金で」が何年も続く人がいる訳です。一体いくら持ってるの?と疑問になりますが、証拠もなしに「アナタ、噓ついてるでしょ?」とは言えないですよね。

疑問の解消には、後から調べて預貯金等の財産を確認することが必要です。

税務調査で所得が発覚したら?

本題はココです。

住民税で「所得無し」と申告していた人が、税務署の調査で所得があることが発覚したらどうなるでしょうか。

市役所で「所得無し」と申告しているんですから、当然、確定申告もしていません(していれば市区町村にも情報がいきますからね)。

つまり無申告です。無申告だと「脱税認定」=「重加算税賦課」をするのは結構大変だったりします。「仮装又は隠蔽」行為を認定できないと重加算税が賦課できず、無申告の「仮装又は隠蔽」はその行為を立証するのが難しいためです。

しかし住民税で「所得無し」と申告していたら?

仮装・隠蔽と認定する一つの材料になりますよね。当然、税務署は市役所の申告状況は確認します。

無申告で重加算税となり、しかも7年遡及されたら・・・。

所得税は本税+重加算税+延滞税が7年分。しかも延滞税は通常の場合1年で済むところ、7年丸々かかります(6年前、5年前についても、それぞれ6年分、5年分です。とんでもない額になります)。

住民税は自治体によりますが、最低でも5年はかかると思います(7年かかる可能性もあります)。さらに市町村国保に加入していれば国保も同様です。

恐ろしい額になりそうですね。

終わりに

実際にこうしたケースに当たったことがあります。

住民税は「収入無し」ではなかったんですが、年金所得だけを申告していました。本当は不動産所得もあった、という話で、確定申告はしておらず無申告。「不動産の利益の税金を払いたくなかった」とのこと。

これは無申告の重加算税ですよね。本人も諦めていました。

こうならないためにも、最初から正しい内容で確定申告をするようにしましょう。

【編集後記】
岩田望来騎手、GI初勝利おめでとうございます。若手には頑張って欲しいですね。
そして香港。ロマンチックウォリアーの強さ。日本馬が勝てなかったのは残念でしたが、いいもの観れました。