税務署(今は「業務センター」も多い)から突然お尋ね文書が届くことがあります。
一瞬焦ると思います。しかしこれは、「お尋ね」であり調査ではありません。なるべく早く対応しましょう。
放置すると調査に発展する可能性があります。
そもそも「お尋ね」とは何か
そもそも「お尋ね文書」は、文字どおり税務署が知りたい、確認したいことを納税者に「お尋ね」するものです。
私も調査官時代、いくつものお尋ね文書を送付しました。
個人事業主など個人の税金関係でよくあるのは
- 消費税に関する届出を提出したかの確認
- 消費税の申告が必要と思われるが、申告していない方への申告についての確認
- 国外送受金に関しての確認
- 確定申告書や届出書の誤りについての確認
などです。
この段階では調査ではなく、「行政指導」として文書を送付しています。
放置せず対応すれば、税務署は「自主的に」提出したと扱います。
「調査を受けて」修正申告書や期限後申告書を提出した場合と、「自主的に」提出した場合とでは、加算税の扱いが大きく変わってしまいます。
「お尋ね」を放置したら調査に移行
「お尋ね文書」を送付しても回答をもらえない場合、「行政指導」から「税務調査」へ移行します。
お尋ね文書は何度か送付することが多いですが、「一回くらい放置しても大丈夫だろう」とは思わないでください。
また、お尋ね文書には回答期限を設けるのが一般的です。回答期限を1日でも過ぎると調査、というわけではないので、つい忘れていて期限を過ぎてしまった場合は、できるだけ早く対応してください。
「行政指導」と「調査」の加算税の違い
「加算税」とは、一言で言うとペナルティです。確定申告期限内に、正しく申告した人との公平性を保つために設けられています。
ここでは、加算税のうち「過少申告加算税」と「無申告加算税」の、行政指導と調査による違いを説明します。
過少申告加算税
「過少申告加算税」は、修正申告で発生した追加の納税額に対して課税されます。
当初申告(最初に出した申告)が確定申告期限内であれば、自主的な修正申告の場合、「過少申告加算税」は発生しません。
つまり、行政指導の内に修正申告書の提出に応じれば、加算税はかからないのです。
これが「税務調査により修正申告書を提出」の場合だと、原則10%の過少申告加算税がかかります。
無申告加算税
「無申告加算税」は、確定申告期限後に提出された申告書の納税額に対して課税されます(当初申告が期限後申告の場合は、当初申告の修正申告に対しても過少申告加算税ではなく無申告加算税が課されます)。
自主的な提出の場合、無申告加算税は原則5%ですが、「税務調査を受けて提出」の場合だと、原則15%の無申告加算税がかかります。
(参考:財務省HP、国税庁HP)
過少申告加算税のように0にはなりませんが、「行政指導」と「調査」では税率が10%以上変わってきます。
まとめ
とにかく、税務署からの連絡は放置・無視はしないようにしましょう。
「お尋ね文書」は、確定申告の誤りの指摘のこともありますが、例えば還付先口座の確認や、届出書の内容確認など、文字どおりの「お尋ね」のこともよくあります。
できるだけ早く対応してください。
また、文書が届いた場合、「お尋ね文書」ではなく、いきなり「調査」であることもあります。
対応方法がわからない場合は税務署や税理士に相談しましょう。