こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

FX取引等、先物取引の差金等決済で損失が生じた場合、一定の要件を満たし確定申告するなどすれば、損失額を3年間繰り越すことができます。繰越損失は次の年以降の先物取引の黒字と相殺できるため、確実に手続きを行いたいところです。

確定申告の際に「損しているから申告はいらないだろう」と損失額を記載していなかった場合でも、要件次第ですが救済措置があります。

先物取引の損失の繰越控除

先物取引の損失

FX取引等、先物取引の差金等決済の損失については、他の「先物取引に係る雑所得等」と通算することができます。

しかしながら、それ以外の所得、例えば給与所得や株式の譲渡所得などと通算することはできません。

他の「先物取引に係る雑所得等」と通算しても引き切れない金額は、一定の要件を満たすことで、翌年以降3年間の繰越をすることができ、各年分の「先物取引に係る雑所得等」から控除することができます。

繰越控除の要件

FX先物取引の差金等決済の繰越控除の適用には、次の手続が必要となります(措法41の15③)。

  • 先物取引の差金等決済に係る損失の金額が生じた年分の所得税につきその先物取引の差金等決済に係る損失の金額の計算に関する明細書等の一定の書類の添付がある確定申告書を提出
  • その後において連続して確定申告書を提出
  • 繰越控除を受けようとする年分の所得税につき、明細書等の一定の書類を添付した確定申告書を提出する

ここで注意すべきポイントは、2番目の連年申告要件です。先物取引がなかった年でも損失を繰り越すための申告が必要となります。

先物取引の損失を申告していない場合

期限後申告の場合

全く申告していなければ、連年申告要件には引っかかりません。期限後申告であっても、古い年分から順番に確定申告をしていれば、その時期は問われません。

ただし、申告ができる期間には時効があります。法定納期限から5年を経過した場合は所得税の確定申告はできなくなります。

確定申告に先物取引の損失を入れなかった場合

例えば令和5年分の確定申告で、令和5年中に生じた先物取引等に係る損失を入れ忘れていた場合(先物取引等以外の内容は申告済)は、令和6年分の確定申告をする前であれば、令和5年分の損失を繰り越す旨の更正の請求をすることができます。
税務署での実務では、このケースが1番多かったように思います。

なお、令和5年中に生じた先物取引等の損失の確定申告はしたものの(損失の金額の計算に関する明細書等の添付済)、令和6年分において先物取引等に係る損失の繰越控除を受ける金額の計算に関する明細書の添付をせず、先物取引等以外の確定申告を行った場合は、令和6年分の確定申告書には明細書等の添付もなく、令和5年分の損失も申告されていないため、その後に繰越損失を適用する更正の請求は認められません。

連年申告要件には注意が必要です。

確定申告した損失額が過少であった場合

繰越控除を受ける金額の計算に関する明細書等の添付がある確定申告書を提出した場合で、損失額が過少であった場合は、損失額を増加させる更正の請求が可能です。この場合、その更正後の金額を基にして繰越控除の規定が適用されます。

まとめ

先物取引の損失の繰越控除には、連年申告が要件となり、救済措置も限定的となります。

後で気づいても認められないケースもあり、その後の年分にも影響してきますので、注意が必要です。

【編集後記】
野菜が高いです。毎日食べているキャベツとキュウリが特に。他の食品や飲料も軒並み値上げされているような。何とかしてください。