特に飲食店などの現金商売においては、しばしば「内観調査」が行われます。

実際に税務調査をする前に調査官がお客としてお店に訪問。内情を探ります。

対象は居酒屋、レストラン、喫茶店などの飲食店、美容室・理髪店、果ては風俗業など、多岐にわたります。

内観調査の目的

店内の様子の把握

内観調査の最大の目的は、店舗内部の様子を把握することです。

席数、客数、回転率、客層、従業員の有無・人数、伝票の有無、レジの有無・担当者、テイクアウトの有無・レジを通しているか、営業日・土日や祝日はやっているか等々。

内観調査の後に行われる実地調査において有益な情報を持ち帰るため、食事そっちのけで観察しています。

実際に私が訪問した飲食店では、レジがなく現金箱のような木箱でお金を管理している所がありました。

内観調査をしたからと言って実地調査が必ず行われる訳ではありませんが、レジを設置していないお店などは、「どうやって売上を管理してるんだ?」と調査に訪問する前から税務署に疑われてしまいます。

売上の規模を推計する

内観調査に行くと、メニューから客単価を計算します。調査官が店内にいる間に来たお客さんの数、客層から、時間当たり、1日当たり、年間当たりの売上を推計し、提出された確定申告書と比較。申告書の売上額と差があれば、実地調査の対象となりやすく、また不正が疑われることとなります。

紙幣で払って調査で紙幣を確認

内観調査は絶対に現金、しかも紙幣で払います。

内観の前にお札の番号を控えたり、チェックを付けるなどしておき、いざ調査に行ったとき、その現金があるかどうかの確認をすることがあります。

レジから売上のお金を抜く方も多く、そこまでチェックすることがあります。
「調査の年分は去年以前なのに今年の売上も見るの?」という疑問を抱く方もいるかもしれませんが、必要であれば今年の売上や記帳状況の確認もします。
普段から現金の取り扱いをきちんとしていることが重要です。

外観調査もある

実際にお店に客として行くのが内観調査ですが、「外観調査」と言ってお店を外から観察する調査も行われます。

お店の前に張り付き、外から客数を数えていたりします。また、事業主の自宅を確認しに行くこともあります。申告書上の売上に相応しくない高級車があったりするとしめたもの。不正を疑われる恰好の材料となります。

また、最近では調査官がお店のホームページやブログ、SNSをチェックするのは当然の行為となっています。これも一種の外観調査と言えるでしょう。関与している税理士も同様に確認されます。

思わぬところに思わぬ不正の端緒がないか。調査官は色々なところに目を光らせています。

まとめ

内観調査があったら実地調査の可能性大、と思っていただいて良いですが、どのお客さんが調査官か、なんて見抜けることは、よっぽどヘタな調査官でない限りまずありません。

やはり普段から適正な帳簿作成をすることが重要です。