こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

サラリーマンなど給与所得者の個人住民税は原則として毎月のお給料から天引きされ、勤務先が本人の代わりに市区町村に納付します。

退職や転職した場合、これはどうなるでしょうか。

住民税の仕組み

1年遅れの税金

住民税はよく「1年遅れの税金」と呼ばれます。これは、その年度の住民税が前年の所得に基づいて計算されるためです。

例えば令和6年度であれば、令和5年の1月から12月の1年間の所得を基にします。

確定申告書を提出した方であれば確定申告書が基になります。

確定申告書を提出していないサラリーマンなどは、勤務先から「給与支払報告書」という源泉徴収票と同じ書類がお住いの市区町村に提出され、それに基づいて計算されます。
年金所得者は年金の支払者(厚生労働省など)から、「年金の支払報告書」というものが同様に市区町村に送付され、住民税が計算されます。

1年のサイクル

住民税の1年は6月から始まり、5月に終わります。

令和6年度であれば、令和6年6月から始まり、令和7年5月に1年が終わることになります。
そして令和7年6月から令和7年度がまた始まります。

これは確定申告書や給与支払報告書が1月から4月にかけて提出・整理され、市区町村の住民税の課税処理が終わるのが5月中頃になるためです。

この時期の市民税・課税課は本当に大変でした。私がやっていた当時(2003年頃)は1枚1枚、課税資料に番号を記入していました。何てアナログな。
今はどうなっているんだろう。やり方は変わっているでしょうし、少しは楽になっているのかもしれません。

納付方法

住民税の納付方法には大きく分けて次の2通りがあります。

  • 特別徴収・・・給与や年金からの天引き
  • 普通徴収・・・納付書や口座振替での納付

特別徴収は給与の場合、6月から5月までの12回払いとなります。

普通徴収は6月、8月、10月、翌年1月の4回払いになります。

退職した年と翌年はツライ!

退職した年と翌年は住民税、ツライです。

例えば12月で退職した方がいるとしましょう。

その年度の住民税は残り1月から5月までの5か月分が残っていますね。

退職後は当然給与天引きはできません。役所からこれを一括で払えという納税通知書が役所から届くわけです。
ひと月10万円としたら・・・50万円を一括です(退職月を12月としたため一括になりますが、退職の時期によっては数回に分かれます)。

翌年度の住民税はもっときついです。

「長年頑張ったしゆっくりしよう」と骨を休める方も多いと思います。

そんな中、6月になると前年1月から12月という、現役時代の所得を基に計算された住民税の納税通知書がやってきます。

税額は前年の年収次第ですが、退職後収入がない、もしくは微々たるものなのに、100万円を超えるような住民税が届くこともあります。

辞めた年度の分は場合によっては退職金から職場が払ってくれていることもあります(私はこのパターン)が、翌年度はそうはいかないですからね。

負担感は相当なものになります。

市役所での窓口対応で、よく「何で収入がないのにこんなに高いんだ!」と怒られました(私に怒っても・・・)。

転職した場合の天引きの継続方法

転職した場合、系列企業などでなければ、一旦天引きは止まります。

というのは、勤務先は職員が辞めた場合、市区町村に「退職したので○月分以降は天引きできません」という届を出すのです。
今までの会社から新しい会社への引継ぎなどは行われません。

市区町村はこれに基づき、天引きできなかった分を納税通知書として本人に通知します。

転職先で引き続き天引きしてもらいたいときは、その通知書を転職先の担当部署に持っていき、天引き希望を伝えましょう。あとは勤務先が手続きしてくれるはずです。
ただし、その納税通知書の納期によっては天引きできない可能性もあります。勤務先に確認してください。
なお、翌年度の住民税は基本的には新しい職場から天引きされるはずですが、転職のタイミングによっては天引きとならず納税通知書が届く場合もあります。この時も同様に納税通知書を職場の担当者に持っていき、天引き希望の旨を伝えましょう。

まとめ

退職した直後の住民税は恐怖です。

私も来年の6月が怖い・・。それまでにある程度収入を得ることが出来ていればいいんですけどね。

【編集後記】
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