
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
先日に続き、ローンが無くても受けられる住宅控除を紹介します。
今日は、特定の改修工事をした場合に受けられる控除です。これらはまとめて「住宅特定改修特別税額控除」と呼ばれています。
一定の省エネ工事をした場合
概要
所有している居住用家屋について一定の省エネ工事(断熱改修工事等)を行った場合、一定の要件の下、一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。
控除額は次の算式で計算します。
A×10%+B×5%
A:一般省エネ改修工事の標準的な費用の額(最高250万円・太陽光発電設備設置工事を伴う場合は350万円)
B:次の(1)、(2)のいずれか低い金額(1,000万円-Aが限度)
(1)次のイとロの合計額
イ 標準的な費用の額のうち250万円(太陽光発電設備設置工事を伴う場合は350万円)を超える部分の額
ロ 一般省エネ改修工事と併せて行う一定の増改築等の費用の額の合計額
(2)標準的な費用の額
なお、「標準的な費用の額」は、「増改築等工事証明書」で確認します。
適用要件
- 自分が所有する居住用家屋について、税額控除の対象となる一般省エネ改修工事をしていること
- 一般省エネ改修工事の日から6か月以内に居住していること。
- 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること(令和5年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合は、この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下)。
- 住宅の床面積(登記事項証明書に表示されているもの)が50㎡以上であること。
- 住宅の床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住用であること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、控除後の金額)が50万円超であること。
- 工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
注意事項
- 「増改築等工事証明書」の添付を忘れずにしてください(証明書が発行されるということが、税額控除の対象となる工事である証明になります)。
- 同工事に係る住宅ローン控除との併用はできません。
- 前年以前3年内の各年分において一般省エネ改修工事に係るこの税額控除を適用したときは、原則として、当該年分において適用することはできません。
バリアフリー工事をした場合
概要
所有している居住用家屋について一定のバリアフリー工事を行った場合、一定の要件の下、一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。
控除額は次の算式で計算します。
A×10%+B×5%
A:バリアフリー改修工事の標準的な費用の額(最高200万円)
B:次の(1)、(2)のいずれか低い金額(1,000万円-Aが限度)
(1)次のイとロの合計額
イ 標準的な費用の額のうち200万円を超える部分の額
ロ バリアフリー改修工事と併せて行う一定の増改築等の費用の額の合計額
(2)標準的な費用の額
なお、「標準的な費用の額」は、「増改築等工事証明書」で確認します。
適用要件
- バリアフリー改修工事を行う方が、次のいずれかに該当する特定個人であること。
①50歳以上の方
②介護保険法に規定する要介護または要支援の認定を受けている方
③所得税法上の障害者である方
④高齢者等(65歳以上の方または上記②もしくは③に該当する方をいいます。)である親族と同居を常況としている方 - 自分が所有する居住用家屋について、税額控除の対象となるバリアフリー改修工事をしていること。
- バリアフリー改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること。
- 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること(令和5年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合は、この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下)。
- 住宅の床面積(登記事項証明書に表示されているもの)が50㎡以上であること。
- 住宅の床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住用であること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、控除後の金額)が50万円超であること。
- 工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
注意事項
- 「増改築等工事証明書」の添付を忘れずにしてください(証明書が発行されるということが、税額控除の対象となる工事である証明になります)。
- 同工事に係る住宅ローン控除との併用はできません。
- 前年以前3年内の各年分においてバリアフリー改修工事に係るこの税額控除を適用したときは、原則として、当該年分において適用することはできません。
多世帯同居に関する工事をした場合
概要
所有している居住用家屋について一定の多世帯同居改修工事を行った場合、一定の要件の下、一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。
控除額は次の算式で計算します。
A×10%+B×5%
A:多世帯同居改修工事の標準的な費用の額(最高250万円)
B:次の(1)、(2)のいずれか低い金額(1,000万円-Aが限度)
(1)次のイとロの合計額
イ 標準的な費用の額のうち250万円を超える部分の額
ロ 多世帯同居改修工事と併せて行う一定の増改築等の費用の額の合計額
(2)標準的な費用の額
なお、「標準的な費用の額」は、「増改築等工事証明書」で確認します。
適用要件
- 自分が所有する居住用家屋について、税額控除の対象となる多世帯同居改修工事をしていること。
- 多世帯同居改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること。
- 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること(令和5年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合は、この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下)。
- 住宅の床面積(登記事項証明書に表示されているもの)が50㎡以上であること。
- 住宅の床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住用であること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、控除後の金額)が50万円超であること。
- 工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
注意事項
- 「増改築等工事証明書」の添付を忘れずにしてください(証明書が発行されるということが、税額控除の対象となる工事である証明になります)。
- 同工事に係る住宅ローン控除との併用はできません。
- 前年以前3年内の各年分において多世帯同居改修工事に係るこの税額控除を適用したときは、原則として、当該年分において適用することはできません。
耐久性の向上に関する工事をした場合
概要
所有している居住用家屋について一定の耐久性向上改修工事(住宅耐震改修や一般省エネ改修工事と併せて行うものに限ります。)を行った場合、一定の要件の下、一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。
控除額は次の算式で計算します。
A×10%+B×5%
【住宅耐震改修工事又は一般省エネ改修工事のいずれかと併せて行う場合】
A:各改修工事の標準的な費用の額(最高250万円・一般省エネ改修工事に太陽光発電設備設置工事が含まれている場合は350万円)
B:次の(1)、(2)のいずれか低い金額(1,000万円-Aが限度)
(1)次のイとロの合計額
イ 標準的な費用の額のうち250万円(一般省エネ改修工事に太陽光発電設備設置工事が含まれている場合は350万円)を超える部分の額
ロ Aの工事と併せて行う一定の増改築等の費用の額の合計額
(2)各改修工事の標準的な費用の額
【住宅耐震改修工事及び一般省エネ改修工事と併せて行う場合】
A:各改修工事の標準的な費用の額(最高500万円・一般省エネ改修工事に太陽光発電設備設置工事が含まれている場合は600万円)
B:次の(1)、(2)のいずれか低い金額(1,000万円-Aが限度)
(1)次のイとロの合計額
イ 標準的な費用の額のうち500万円(一般省エネ改修工事に太陽光発電設備設置工事が含まれている場合は600万円)を超える部分の額
ロ Aの工事と併せて行う一定の増改築等の費用の額の合計額
(2)各改修工事の標準的な費用の額
なお、「標準的な費用の額」は、「増改築等工事証明書」で確認します。
適用要件
- 補助金等の額を差し引いた標準的な費用の額が 50 万円を超える住宅耐震改修または(および)一般省エネ改修工事を併せて行うこと。
- 自分が所有する居住用家屋について、税額控除の対象となる耐久性向上改修工事をしていること。
- 耐久性向上改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること。
- 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること(令和5年12月31日までの間に自己の居住の用に供した場合は、この特別控除を受ける年分の合計所得金額が3,000万円以下)。
- 住宅の床面積(登記事項証明書に表示されているもの)が50㎡以上であること。
- 住宅の床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住用であること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、控除後の金額)が50万円超であること。
- 工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
注意事項
- 「増改築等工事証明書」の添付を忘れずにしてください(証明書が発行されるということが、税額控除の対象となる工事である証明になります)。
- 都道府県・市区町村の長期優良住宅建築等計画の認定通知書の写しの添付も必要です。
- 同工事に係る住宅ローン控除との併用はできません。
- 前年以前3年内の各年分において一般省エネ改修工事に係る税額控除を適用したときは、原則として、当該年分において適用することはできません。
子育て対応に関する工事をした場合
概要
令和6年分の確定申告から新設された制度です。
特例対象個人(年齢40歳未満であって配偶者を有する者、年齢40歳以上であって年齢40歳未満の配偶者を有する者または年齢19歳未満の扶養親族を有する者をいいます。)が、所有している居住用家屋について一定の子育て対応改修工事等を行った場合、一定の要件の下、一定の金額をその年分の所得税額から控除することができます。
控除額は次の算式で計算します。
A×10%+B×5%
A:多世帯同居改修工事の標準的な費用の額(最高250万円)
B:次の(1)、(2)のいずれか低い金額(1,000万円-Aが限度)
(1)次のイとロの合計額
イ 標準的な費用の額のうち250万円を超える部分の額
ロ 多世帯同居改修工事と併せて行う一定の増改築等の費用の額の合計額
(2)標準的な費用の額
なお、「標準的な費用の額」は、「増改築等工事証明書」で確認します。
適用要件
- 自分が所有する居住用家屋について、税額控除の対象となる子育て対応改修工事をしていること。
- 子育て対応改修工事の日から6か月以内に居住の用に供していること。
- 控除を受ける年分の合計所得金額が2,000万円以下であること。
- 住宅の床面積(登記事項証明書に表示されているもの)が50㎡以上であること。
- 住宅の床面積の2分の1以上が、専ら自己の居住用であること。
- 2以上の住宅を所有している場合には、主として居住の用に供すると認められる住宅であること。
- 標準的な費用の額(補助金等の交付を受ける場合は、控除後の金額)が50万円超であること。
- 工事費用の2分の1以上の額が自己の居住用部分の工事費用であること
注意事項
- 「増改築等工事証明書」の添付を忘れずにしてください(証明書が発行されるということが、税額控除の対象となる工事である証明になります)。
- 同工事に係る住宅ローン控除との併用はできません。
- 「特例対象個人」の要件の対象となる配偶者または扶養親族 の全てが非居住者 であるときは、配偶者に係る親族関係書類またはいずれかの扶養親族に係る親族関係書類および送金関係書類を提出する必要があります(年末調整時に提出した場合は不要)。
【編集後記】
特定の改修工事の場合、ローンが無くても住宅控除の適用が可能です。「増改築等工事証明書」が必要になりますので、施工業者等から入手してください。