
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
自宅を仕事場として使いつつ、住宅ローン控除を受ける方もいらっしゃると思います。
住宅ローン控除の適用には居住割合に関する要件もあるため、注意が必要です。
居住割合が50%以上が要件
住宅ローン控除の適用要件の1つに、住宅の居住割合があります。
具体的には、床面積の2分の1以上を専ら自己の居住の用に供していること
とされています。
つまり、自宅兼事務所の場合、50%以上を居住用としないと住宅ローン控除が受けられないことになります。

居住割合が50%未満の上下で増減した場合
50%以上であったものが50%未満になった場合
居住用100%であった住宅を自宅兼事務所としたため、居住用割合が50%を下回ったような場合が該当します。
この場合、適用要件を満たさないことになるので、住宅ローン控除を受けられなくなります。
50%未満であったものが50%以上になった場合
住宅を購入した当初は事務所として使っていた割合が大きかったものの、事業を廃業したため居住用100%になったような場合。
又は上記のように一度居住割合が50%を下回ったものの、その後再度50%以上になった場合。
いずれの場合も住宅ローン控除を受けることはできません。
つまり一度でも居住割合が50%を下回ると、その住宅については二度と住宅ローン控除を受けることができないということになります。
自宅兼事務所として使用する場合は、慎重な判断が必要です。
居住割合が50%以上の範囲での増減した場合
元々の家屋の居住割合が50%以上で、変化後の割合も50%以上であれば、住宅ローン控除の適用が可能です。
例えば自宅の1/4を事務所としていたけど外に事務所を借り、自宅は100%居住用となったような場合。
元々が75%→100%なので、引き続き住宅ローン控除を受けることができます。
逆に100%→75%のような場合でもOK。
共に増減後の居住割合で住宅ローン控除額を計算します。
居住割合90%以上なら100%として計算する
住宅ローン控除額は、居住割合に応じた控除額になります。
例えば居住割合が100%で計算した控除額が100,000円の場合。
居住割合50%では50,000円、80%では80,000円が控除額となります。
しかし特例があり、居住割合が90%以上のときは100%として計算して良いことになっています。
減価償却との整合性に注意
税務署はしっかりチェックします
自宅兼事務所とする場合、自宅の減価償却を経費に計上することができます。
しかし、減価償却とできるのは、自宅に限った話ではありませんが事業割合で按分して計算した金額のみ。
事業割合が100%の自宅を住宅ローン控除とするのはおかしいですよね。
原則として減価償却で計上する事業割合と住宅ローン控除で計上する居住割合の合計が100%でないと、矛盾が生じます。
ここは結構、税務署もチェックしているポイントです。住宅ローン控除は適用年数が長いのでそれだけ控除額も大きいですからね。
控除も減価償却も最大限受けられるのは居住割合90%
しかし例外的に、居住割合が90%なら住宅ローン控除を100%受けることができます。
かつ、10%分は減価償却として費用計上することも可。
住宅ローン控除も減価償却も最大限受けられることになります(住宅ローン控除は税額控除なので、基本的には減価償却より減税効果は高いです)。
住宅ローン控除の適用が終われば、この縛りはなくなります。事業割合を高めても問題ありません。
まとめ
一番気を付けなくてはいけないのは、居住割合が50%を下回らないようにすることです。
住宅ローン控除が受けられなくなるのは痛いですからね。
あとは減価償却での事業割合との整合性。税務職員でも意外と見落としがちで、中々気付きにくい部分だとは思いますが、注意が必要です。