こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

新しく事務所を借りたい、仕事部屋が欲しい。

などと思う今日この頃。

事務所と言ってもオフィスのような部屋ではなく、一人でやっているので安めのワンルーム居住用アパートを借りれば十分仕事はできます。

ですが使用目的が「居住用」とされている場合、消費税の取り扱いに注意しなければなりません。

消費税の仕入税額控除

消費税を本則課税で計算する場合、支払った経費に係る消費税を受け取った消費税から控除して納付する消費税額を計算します。

この控除する消費税を仕入税額控除と言います。

そのため、経費に係る消費税が多ければ多いほど、納付する消費税額は少なくて済むわけです。

事務所として払った家賃にも当然、消費税が上乗せされているでしょ、とお思いになるかもしれませんが、実はこれは正確ではありません。

住宅の貸付けは消費税非課税

住宅の貸付けには消費税がかかりません。

つまり「居住用」として借りている部屋の家賃には消費税はかかっていないのです。

消費税がかかっていないわけですから、当たり前ですが消費税を払っていません。

そのため、居住用アパートの家賃は消費税の仕入税額控除ができないことになります。

居住用のアパートを勝手に事務所にしたらどうなる?

それでは、住宅として借りたものを承認も得ずに勝手に事業用として事務所に使用した場合の消費税はどうなるでしょう。

結論を申しますと、「居住用」という契約で借りていた物件を、大家さんとの契約変更を行わずに事業用に使用した場合、仕入税額控除はできません。

考えてみれば当然で、大家さんは消費税を受け取っている認識がないわけです。つまり消費税の申告にも課税売上として含めませんし、含める必要もありません。

売上として申告しないものを支払う方が仕入税額控除にできるはずがないですよね。

そのため、大家さんとの間で事業用に使用する契約変更をした場合には、変更後であれば仕入税額控除の対象となるとされています(消費税基本通達6-13-8)。

住宅の貸付けに係る非課税範囲の見直し

やや話が逸れますが、令和2年4月1日以後に行われる住宅の貸付けから非課税範囲の見直しが行われています。

住宅の貸付けについては、その貸付けに係る契約において「人の居住の用」に供することが明らかな場合に消費税が非課税とされていますが、その契約において貸付けに係る用途が明らかにされていない場合であっても、その貸付け等の状況からみて人の居住の用に供されていることが明らかな場合については、消費税を非課税とすることとされました。

まとめ

簡易課税を選択している方や消費税が免税の方については気にする話ではありませんが、部屋を事務所として使う時は、契約内容に注意してください。

【編集後記】
確定申告期限まであと10日です。少し仕事に追われています。