こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

漫画家さんやイラストレーターさんなど、自宅で独立開業、一部屋を使って個人事業主として活動されている方、結構いらっしゃるんじゃないでしょうか。

自宅が実家で親御さんと同居され、親御さんに家賃等の名目でお金を払っているケースもあると思います。

この親御さんへの支払が経費になるかどうか、というお話です。

家賃の場合

親御さんへの支払が経費になるかどうか。一律になりますともなりませんとも言えません。まず「家賃」という家そのものに関する支払について考えてみましょう。

実家が持ち家の場合

実家が持ち家の場合、親御さんへの家賃の支払は経費にできません。

税務署的に言うと、「生計が一の家族に対する支払は経費にはならない」というルールになっています。

生計が一とは簡単に言うと同じ財布で生活しているということ。同居している家族ならほとんど当てはまります。

親御さんだけでなく夫婦間でも同じですので、夫婦間で考えた方がもっとわかり易いかもしれませんね。

配偶者名義のご自宅、生活はずっと一緒です。自宅の一室を仕事場にしているから、配偶者に家賃として月8万円支払っています。この支払は家賃として経費になるでしょうか、という話です。
夫婦間でのお金の移動は、家庭内でお金が右から左に動いているだけ、という考え方になります。これを認めてしまうといくらでも経費に計上できてしまいますよね。残念ながら家族間での支払いは経費としてはNGです。

実家が賃貸の場合

実家が賃貸で親御さんが第三者である大家さんに家賃を支払っている場合です。

この場合、事業割合分を家賃としてOKとなります。

これは所得税法56条という法律で、生計が同じ家族が家賃などの経費を支払っている場合は、ご本人が負担していない場合でも、その家賃などを経費にすることが出来ると規定されているためです。

所得税法第56条

居住者と生計を一にする配偶者その他の親族がその居住者の営む不動産所得、事業所得又は山林所得を生ずべき事業に従事したことその他の事由により当該事業から対価の支払を受ける場合には、その対価に相当する金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入しないものとし、かつ、その親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、その居住者の当該事業に係る不動産所得の金額、事業所得の金額又は山林所得の金額の計算上、必要経費に算入する。この場合において、その親族が支払を受けた対価の額及びその親族のその対価に係る各種所得の金額の計算上必要経費に算入されるべき金額は、当該各種所得の金額の計算上ないものとみなす。

なんともまぁ気持ち悪い感じが残るんですが、この規定によれば、同じ財布で生活している人が払った家賃などは、自分がお金を払っていない場合でも経費にできることになります。

ただし!あくまで事業利用分だけであることに注意してください。

例えば家賃8万円の賃貸住宅で、4部屋のうち1部屋を仕事部屋としているような場合は、8万円×1/4=2万円、といった計算が必要になります。

家賃以外の場合

家賃以外の自宅に係る支払って色々ありますよね。

住宅ローンの利息、固定資産税、PCなどの通信料、光熱費、火災保険、家の修繕費などなど・・。

これらは持ち家・賃貸に限らず(ローンや固定資産税は持ち家限定ですが)、「事業に使っている割合」を明確にすれば経費にすることができます。

まとめ

・実家が持ち家の場合、親御さんへの家賃は経費とできない

・実家が賃貸の場合、家賃のうち事業割合分を経費としてOK

・固定資産税や光熱費は、事業割合相当分を経費としてOK

となります。

節税方法として上手く使っていきたいですね。