
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
先日、妻の漫画「星旅少年」が2025年度の「日本漫画家協会賞」で大賞を受賞しました。
その大賞贈賞式が来月開かれるんですが、この式に出席するための美容代って経費になるの?というところが気になります。
そこで漫画家さんなどのクリエイターさんがイベント参加・出席にかける”美容代”がどこまで経費になるのか、まとめてみようと思います。
必要経費のおさらい
必要経費として認められる支出って何?というおさらいです。
経費として認められるかどうかの大前提は、
「その出費が仕事のために必要だったかどうか」です。
国税庁HPでは以下のように記載されています(国税庁HP「必要経費の知識」)
必要経費の概要
事業所得、不動産所得および雑所得の金額を計算する上で、必要経費に算入できる金額は、次の金額です。
(1)総収入金額に対応する売上原価その他その総収入金額を得るために直接要した費用の額
(2)その年に生じた販売費、一般管理費その他業務上の費用の額
この話に限ったことではないですが、「これが必要経費か?」と疑問に思ったら、まず仕事に必要かどうかという原点に立ち返ってみて考えると良いと思います。
そして判断のポイントは「客観的に見て経費性があるかどうか」です。
経費として認められるかどうかは、確定申告書の提出時ではなく税務調査があったときに調査官に認めてもらえるかどうかで決まります。
そのため、自分がどう感じたか、どう思ったか、ではなく、第三者である調査官から見て経費性があるかどうか、を念頭に判断しましょう。
洋服代はどうか
さて、今回の贈賞式。そもそも贈賞式への出席が仕事に必要かということもありますが、式に出ることで知名度が上がる、他の漫画家さんや出版業界、映像業界の方との繋がりが持てる、結果として本が売れたり仕事の幅が広がる。
こうしたことを考えれば十分、仕事であると言えるでしょう。
しかもただの参加ではありません。「受賞者としての参加」です。それなりの服装が求められます。
妻から詳細は聞いてませんので服装については買うか借りるのかはわかりませんが、いずれにしても出費はあります。
これが借りるのであれば100%経費と言って良いと考えられます。この贈賞式以外で着ることはありません。
買うとなるとちょっと微妙。普段使いするような服であれば100%は難しいですね。50%を経費とするとか、按分するのが無難かなぁと思います。
まとめると
- 授賞式やサイン会などのイベントで「出演者」としてそれなりの服装が求められるケース
- 取材など撮影用の一時的な衣装(通常使いしないもの)
- 展示会などのブースに立つための服装
こういったものは、経費にできると思います。
ただし、購入する場合で普段使いできるような服であれば、必要に応じて按分することも考えましょう。
服代は経費としては認められないケースが多いです。「業務上どうしても必要な支出」ということを客観的に説明しづらいためです。
「プライベートでも使えるでしょ」と調査で否認されることがよくあります。考えてみるとそれもおかしいんですが(文房具だって何だって普段使いできるけど否認されないです)。
服代を経費とするときは「なぜそれが業務上必要だったのか」を説明できるようにしましょう。
美容院代はどうか
美容院代も服代と同じように考えます。
基本的にはNGとなるケースが多いです。
ただ、
- 式やイベントの出席者として必要だった
- 作品展などを開くときのセレモニーで必要だった
- 取材などを受けた時のため
- 自分のファンとの交流会への参加に必要
こうした理由なら経費とすることは可能だと思います。
これも服代と同様、「なぜそれが業務上必要だったのか」を説明できるようにしましょう。
領収書に「〇月○日、~式に出席のため」などというメモを付けるとより説得力が増します。
また、「普段でも過ごせる髪型」であるなら、これも按分する方がベターです。
まとめ
ということでまとめです。
・服代や美容院代は基本NGだが「仕事のための支出」と客観的に証明できれば経費OK。
・それでも、普段使いできるようであれば適切に按分するのがベター。
・領収書などには目的(~に出席のため)を記したメモを添付しておくと良い
もし税務調査があったらこれらを調査官に主張しましょう。
仮に否認されたとしても意図的にごまかしたわけではないので、「脱税」にはなりません。修正額もそこまで大きなものにはならないです。
客観的な判断は必要ですが、過度に恐れる必要もありません。堂々と主張しましょう。
【編集後記】
私も同行者として贈賞式に出席させてもらう予定です。楽しみです。