
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
税務調査の結末は「修正(又は期限後)申告」「更正・決定」「是認(申告のとおりでOK)」の3つがあります。
このうち「更正・決定」とは、納税者が修正申告・期限後申告を提出しないため、調査官(書類上は税務署長)が税額を直したり(更正)又は決めたり(決定)することです。
「更正」は修正申告の代わり、「決定」は無申告者の期限後申告の代わりとなります。
調査官は更正・決定が嫌いです。
更正・決定
国税通則法第24条・25条
第24条 税務署長は、納税申告書の提出があつた場合において、その納税申告書に記載された課税標準等又は税額等の計算が国税に関する法律の規定に従つていなかつたとき、その他当該課税標準等又は税額等がその調査したところと異なるときは、その調査により、当該申告書に係る課税標準等又は税額等を更正する。
第25条 税務署長は、納税申告書を提出する義務があると認められる者が当該申告書を提出しなかつた場合には、その調査により、当該申告書に係る課税標準等及び税額等を決定する。ただし、決定により納付すべき税額及び還付金の額に相当する税額が生じないときは、この限りでない。
調査の結果、納税者が修正申告・期限後申告の勧奨に応じない場合、税務署長が更正又は決定の処分を行い通知書が送付されます。
実務の場面では、調査内容に納得いかなくても申告書を提出することがほとんどです。
何を言っても勝てないからと思うし、不服申し立て等も大変だからです。
建前上、修正申告書を提出するということは納得して修正申告書を提出していることになります。そのため、修正申告書や期限後申告書を提出した場合は、不服申し立てはできません。
更正決定は嫌だ
調査官のホンネは、「更正決定は絶対にやりたくない」です。
面倒くさいのがその理由です。
更正決定の場合に送付する通知書、「~という処理をしているが、正しくは~だ」「○○法第□□条により」などと理由を付す必要があります。国が行う納税者にとっての不利益処分になるのだから理由は当然必要です。この理由分を考えるのが非常に大変です。
また、更正決定を行う場合はその後の訴訟まで想定して準備する必要があります。そしてその訴訟で負けることは許されません。そのため、確実に賦課できる証拠を用意しなければなりません。
これらが修正申告を出してもらえば全ていらないのです。そりゃ修正申告出してもらった方が楽に決まっていますね。
調査官は更正決定は嫌いです。
「修正申告はしないから勝手に更正しろ」は通じるか
こうしたことを知っている場合、調査を受けた場面で「修正申告は出さない、更正でも何でもしろ」と突っ張ることは得策でしょうか。
もちろん、納得いかなければそれもアリだと思います。納得できないのに無理に修正申告に応じる必要はありません。
ですが更正決定の場合だと「交渉」の余地はありません。
税務調査は意外と交渉が有効で、「ここはいいからこっちは認めてくれ」といったことが通る場合があります。
更正決定の場合はそれがありません。修正申告に応じていれば良かった・・とならないようにしましょう。
調査官は更正が嫌いだと言っても、それを理由に妥協することはありません。「じゃあ更正します」で終わりです。取引材料のように「更正しろ」と言うのは止めた方がいいでしょう。
【編集後記】
更正となると調査期間が延びます。負けたときの延滞税を抑えるため、納得がいかなくても一旦、修正見込額は納税した方が良いでしょう。