
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
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たまにニュースになります。「銀行員が○○万円横領」「テレビ局の局員が○○万円着服」など。
他にも「自治体からの誤還付で何千万円が振り込まれたが返還の意思はない」なんてのもありました。
これら「不当利得」へ税金(所得税・住民税)は課税されるのでしょうか。
所得税基本通達36-1
所得税基本通達では以下のように定めています。
所得税基本通達36-1
法第36条第1項に規定する「収入金額とすべき金額」又は「総収入金額に算入すべき金額」は、その収入の基因となった行為が適法であるかどうかを問わない。
税務上の「通達」とは、税務署が税法の解釈や適用方法を示す指針で、 基本通達は一般的な指針を示します。
通達は税務職員に対する指針であるため個々の納税者への法的拘束力はありません。
税務職員にとっては税法と同じようなものであり、通達に従って仕事をします。
この「通達」でハッキリ言っていますね。
収入を得た行為が適法であろうと違法であろうと課税されます。
むかーしむかしの記憶
むかーしむかしのこと。もう20年以上前です。
実際に「横領」による収入を申告した確定申告書を見たことがあります。
そんなことする人が自分から申告するわけないんですから、調査か指導によるものでしょう。
その後返還したためなのか、何回か課税額が減っていく更正の請求書も提出されていました。
雑所得か一時所得か
その横領による収入は雑所得か一時所得か、いずれかになります。
実際に見た申告書ではどっちだったか。遥か昔のことで全く覚えていません。
雑所得は「収入金額-必要経費」が課税される所得になります。
一時所得は「(一時所得の収入金額-必要経費-特別控除額)×1/2」が課税される所得になります。
横領や着服に必要経費はありません。
雑所得になるか一時所得になるかで税額が倍以上変わってくることもあります。
どちらになるかは難しい所ですが、判例では一時所得か雑所得かの区別は、ほかの所得に当たらないことを前提として、「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」といえるか否かが主な基準となっています。
横領や着服が「営利を目的とする継続的行為から生じた所得」になる場合ってあるんだろうか??
何回もやっていればなるってこと?
まぁこのあたりは実際の事案があったとき、税務当局が頭を悩ますところになるんでしょう。
終わりに
不当利得であっても課税されます。
そしてその頃にはお金は残ってなく、税金が払えず・・みたいな展開になるでしょう。
当たり前ですが悪いことはしないように、ということです。