こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

こんな記事を目にしました。

32歳サラリーマン「年収600万円」なのに…3LDKマンションの住宅ローンを組んだ5年後、税務署から「一通の封筒」が届いたワケ。開封後の恐怖のはじまり(GOLD ONLINE)

住宅ローン控除は住み続けないと適用はできません。

話の概要

この話の主人公は32歳のサラリーマン。

都心から少し離れた場所に3LDKのマンションを購入、住宅ローンの返済期間は35年で変動金利0.475%です。

購入後2年程でアパートへ転居、マンションには現在、別人に貸して家賃収入を得ています。その金額は12万円。9万8,000円のローン返済を上回る計算で不動産所得を得ています。

この状況の中、毎年e-Taxで住宅ローン控除の手続きを行っています。画面に「本人が居住することを前提とした制度です」という注意書きが表示されてもお構いなし。

「税金の計算なんて、システムが自動でやってくれるのだから、わざわざ調べる必要もないだろう」と、特に気に留めることもなく、申告し続けていました。

問題点は2つ

問題点は2つあります。

税務署的には冒頭のとおり、実際に住んでいないのに住宅ローン控除を適用していること。

住宅ローン控除の適用要件の1つに

【この特別控除を受ける年分の12月31日まで引き続き居住の用に供していること】

というものがあります。途中で転居したら原則アウトです(例外的に転勤等のやむを得ない事情であれば再居住後、再適用が可能です)。

他人に貸し出して不動産収入を得るなど論外。不正還付もいいところで、税務署の立場としては許せない事案になります。

もう一つは金融機関の視点から、住宅ローンとして低金利で貸しているのに、そのローンを賃貸物件に利用していること。

今回のケースとはちょっと違いますが、初めから賃貸目的の物件なのに住宅ローンを組み、金融機関にバレて・・というニュースを目にすることもあります。

こうなると残債の一括返済を求められ、物件は売却するほかなく、自己破産へ追い込まれるケースもあります。

税務署も銀行も甘くない

たとえサラリーマンであっても、こうしたケースでは税務署の対応は「税務調査」となり、最も重い罰則である「重加算税」が賦課されることとなります。

住宅ローン控除は向こう10年以上に渡って減税を受けるものなので、金額も大きくなることから税務署も厳しく審査します。

金融機関は、貸したお金が「自分で住むため」に適正に使われているかを継続的にチェックしており、不正利用をみつけるための手段をいくつも持っています。

どちらも対応は厳しく、不正は許してくれません。

終わりに

いつかどこかでバレたら・・と思うと安心して生活することもできない、と私なんかは思ってしまい、とてもできないんですが、やってしまう人はそうではないんでしょうね。

当たり前のことですが、不正利用は絶対に止めましょう。