こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

妻が漫画家(「星旅少年」という漫画を連載しています)ということがあり、当事務所では漫画家さんなどのクリエイター応援プランを用意しております。

漫画家さん、同人作家さん、イラストレーターさんなど、クリエイターの方はBOOTHなどの仲介サイトを通じて、ご自身の作品を販売することも多いと思います。

とても便利ですが、インボイスが始まり請求書・領収書を買い手から求められたらどうするか、という問題が生じます。そのために便利な制度が「媒介者交付特例」です。

媒介者交付特例の概要

インボイス制度始まったため、漫画誌やイラストを購入した人は、消費税の仕入税額控除(消費税を計算する上で、受取った消費税から差引く消費税)を受けるためにはインボイス(要件を満たした請求書等)が必要になります。

媒介者交付特例とは、仲介サイトのようにクリエイターさんと買う人との間に媒介者をはさんで取引が行われる場合に、仲介サイトが、クリエイターさんに代わってインボイスを交付できる制度のことです。

適用要件

媒介者交付特例を受ける場合には、以下の2つの要件を満たす必要があります。

  1. クリエイターさんと仲介サイトが両方ともインボイス登録があること
  2. クリエイターさんがインボイス登録があることを、仲介サイトに取引前までに通知すること

メリット

事務負担の軽減

クリエイターさんに代わって仲介サイトが自社の名称でインボイスを発行します。そのため、クリエイターさんが請求書や領収書を作成するといった面倒な作業をする必要がなくなります。

匿名性が保たれる

媒介者交付特例を利用した場合、インボイスには、仲介サイトの名称とインボイス登録番号のみが記載されます。

クリエイターさんの情報が記載されないため匿名性が高く、漫画家さん、同人作家さん、イラストレータさんなど、ペンネーム等で活動している方にとってはベストな選択といえます。

注意点

クリエイターさんにインボイス登録がない場合

クリエイターさんにインボイス登録がない場合、仲介サイトが「インボイス非対応の請求書等」を出してくれるかどうかは、そのサイト次第になります。

私が「ココナラ」で仕事をお願いしたとき、仕事をお願いした方のインボイス登録がないものの、「ココナラ」が領収書を出してきました。当然ながら消費税の記載があるのは、「ココナラ」への手数料のみでした。

サイトによっては領収書自体出さないところもあります。クリエイターさんが直接請求書等を出すか、出すなら本名で出すかペンネーム等で出すか、請求書を出さないか等の検討・対応が必要になります。

代理交付との違いに注意

似た方法に「代理交付」というものがあります。

代理交付は、文字通りクリエイターさんに代わって仲介サイトが買い手にインボイスを交付する方法です。

媒介者交付特例との違いは、インボイスにクリエイターさんの氏名や名称、インボイス登録番号を記載するということです。

媒介者交付特例と違ってクリエイターさんにインボイス登録がなくても適用できますが、情報が知られてしまうのは大きなデメリットです。

【編集後記】
クリエイターさんにとって、匿名性が保たれるかどうかは大きなポイントだと思います。
今はどこのサイトも媒介者交付特例を採用していると思いますが、利用前に確認してみてください。