こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

今日は税務署時代によく見た、不動産譲渡の申告に関しての誤りやすいケースを紹介します。

サラリーマンの方などが不動産を売却した場合、確定申告でその譲渡だけを申告しているケースが目立ちましたが、これは誤りです。

確定申告は原則として全ての所得を申告する

確定申告は原則として1年間の全ての収入、所得を申告する必要があります。

会社員であっても給与所得に加え、副業をしている場合は雑(又は事業)所得、不動産賃貸をしている方は不動産所得、株の譲渡や配当がある場合(一定の場合は申告不要です)株式譲渡・配当所得、生命保険の満期金を受ければ一時所得など、申告する場合はこれらの所得も合わせて申告しなくてはなりません。

不動産譲渡があり譲渡所得が生じる場合も同様です。

ですがサラリーマンなどでこれまで確定申告をしたことが無い方などは、給与については年末調整で精算が終わっていることから譲渡に関する申告だけすればいい、と考え、給与所得を入れず譲渡所得だけで申告するといったケースがとても多かったです。

残念ながら、これは誤りです。

不動産譲渡は分離課税

不動産の譲渡は「申告分離課税」と言って、給与や事業とは分離して不動産の譲渡だけで税金を計算します。

給与や事業、年金なんかもそうなんですが、これらは「総合課税」と言い、所得を合算して課税所得を求める仕組みです。

不動産譲渡はそれ単独で課税所得を求め、不動産所得用の税率を乗じて税金を計算します。

そのためか、不動産譲渡だけで申告すれば確定申告はOK、とお考えになる方が多いように思います。

何がいけないのか

税金を計算する上では、所得から控除を差引き、課税所得を求めます。

給与所得で年末調整が済んでいる方は、会社からの給与所得に対して所得控除を差引き、給与所得に関しての税金の精算が終わっているのです。

その状態で譲渡所得の確定申告をして、譲渡所得から控除を差引いて税金を計算すれば・・・。

控除の二重取りになってしまう訳ですね。

本来受けられない控除を適用して計算していることになるので、正しい税額より安い税額で申告してしまうことになります。

税務署はなぜ気付くの?

その申告をした人に給与があるってなぜ税務署はわかるのでしょう?

色々な所からわかってしまうんですが、一番単純なのは職業欄に「会社員」と書いてあるのに給与が申告されていないようなとき。

さすがにこれはわかりますよね。

あとは年齢的にまだ勤務しているだろうと推察したり、連年の申告状況を見てみたり、といったようなアプローチをして調べることが多かったです。

何にせよ、税務署はわかってしまいますので、ご自身の所得をきちっと把握し、申告するようにしてください。

譲渡所得は金額が大きくなりがちで、給与所得で受けられていた配偶者控除などが受けられなくなるような場合があります。そうなると追徴税額も大きくなることから、税務調査になりやすい誤りと言えます。

税務調査になると通常の行政指導より加算税(ペナルティ)が高くなってしまいますので、よく注意するようにしてください。

【編集後記】
税務署から連絡があったらすぐ対応するようにしましょう。最初は行政指導として連絡することが多いですが、放置すると税務調査に移行してしまいます。