
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
「東京国税局 確定申告で脱税指南の疑い 会社役員を告発」(NHK 首都圏NEWS WEB)
経営コンサルティング会社を経営する都内の男性が脱税指南で告発されたそうです。
そう言えば国税庁が昨年11月に公表した「令和5事務年度 所得税及び消費税調査等の状況」では、いわゆる所得隠しが大きい業種1位が経営コンサルタントでしたね。しかも3年連続。
何をコンサルしているのかという感じでしたが、こういうことをやっている人も少なくないのでしょうか。
それはともかくとして、NHKのニュース記事を見てみると、「会社員の男女5人に対して架空の副業で損失が出たとして所得を少なく見せかける手口を指南していた」とのことで、手口としては実にオーソドックスなもの。
架空の副業をでっちあげ、事業所得を赤字と申告。給与所得と損益通算をして、給与の源泉所得税の還付を受けます、ということでしょう。
こうした不正還付については、国税も厳しくチェックしています。
具体的には言えませんが、確定申告時に職員に対し「このような形の申告は不正の可能性があるから要注意」といった注意がなされます。
それを基に、申告書のチェックの際に「怪しい」と思った時点で、税務署から国税局へ上申されます。
不正還付は毎年毎年必ず出るので、国税側も目を光らせているわけですね。
おそらく今回のケースは、不正還付を受けていた「会社員の男女5人」のいずれかの申告書が「怪しい」とチェックされ国税局へ情報が行き、そこから告発された男性に繋がり、その後他の不正還付を受けた人達のことが判明した、という流れではないかと思います。
おまけにこの経営コンサルの男性は、脱税指南の他にも無資格で税理士の業務を行った税理士法違反の疑いでも告発されたそうです。まぁ色々とキツイ罰が下るでしょう。
じゃあ不正還付を受けていた「会社員の男女5人」はどうなるでしょうか。その辺りの話は記事にはないようです。
まずは、間違いなく重加算税が賦課されます。何年分なのか知りませんが、それなりの額になるんじゃないでしょうか。重加算税ですから延滞税もたっぷりかかりますね(通常の修正申告は延滞税は一旦1年で計算が止まりますが、重加算税の場合は止まりません)。
また、逮捕される可能性もあります。所得税法238条には「偽りその他不正の行為により所得税を免れ、又は所得税の還付を受けた者は、十年以下の懲役若しくは千万円以下の罰金に処し、又はこれを併科する」という規定もあります。
国税庁では「詐欺罪等に該当すると判断した場合には、刑事上の責任追及の要否を検討した上で、告訴等を行うなど都道府県警察との連携強化にも取り組んでいます。」とアナウンスしています。
そこまで行かなくても、会社にバレたような場合は社会的な制裁を受けることになるでしょうね(どうバレるかは知りませんが)。
不正還付は絶対にバレます。絶対に止めましょう。
【編集後記】
ちょっと話が違いますが、コロナの持続化給付金のときに横行した不正給付。給付金は申告する必要がある収入のため、国税でも調査をすることがありました。
中には不正給付を認めて「私はどうなってしまうんですか」と泣き出す人も。
後悔先に立たずです。