こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
税務調査では、しばしば「反面調査」が行われます。
反面調査とは、調査対象者の取引先などへ調査をすることです。
反面調査の目的
反面調査は、調査対象者本人への聞き取りなどで正しい金額を把握できないときに行われます。
調査の目的の大部分は正しい売上の金額を把握することです。
売上に関する資料と帳簿の金額が異なっていたり、そもそも資料がなかったり、現金取引が多かったりすると反面調査が行われる可能性が高まります。
こちらで売上を100万円計上していれば、取引先では100万円を経費にしているはず。ましてや必要経費ですから、書類はキッチリ残っているはずです。
反面調査の目的は、正しい金額(特に売上)を把握することにあります。
反面調査の方法
反面調査は、主に「直接取引先を訪問する」「取引先に書面で照会する」の2つの方法で行います。
直接取引先を訪問する
取引先に電話で連絡し、「〇〇様との取引を確認させて欲しい、保管している資料のコピーを取らせて欲しい」と伝えます。
そのため、一発で「税務署の調査が入っている」ということが取引先に伝わってしまいます。
これは嫌ですよね。結構トラブルになりがち。
調査官時代、「取引先に行って確認します、必要であれば伝えておいてください」とご本人へ伝えたこともありましたが、本来は伝える必要はありません。
その後の取引の影響を考え、取引先に事前に「税務署から連絡が行くかも」ということは伝えておいた方がいいかもしれませんね。
書面で照会
多数の取引先へ一斉に書面で照会文書を送る方法です。
多くの取引先を同時に反面調査できる一方、回答に時間がかかる上、出したり出さなかったりが相手次第になってしまうので調査官側としてはあまり好ましい方法ではない部分もあります。
これも直接訪問する方法と同じように、すぐに税務調査が入っていることが取引先にバレます。
反面調査を防ぐのは難しい
反面調査の規定
反面調査に関しては、国税通則法という法律で以下のように定められています。
国税通則法74条の2(一部を抜粋)
国税庁、国税局若しくは税務署又は税関の当該職員は、所得税、法人税、地方法人税又は消費税に関する調査について必要があるときは、次の各号に掲げる調査の区分に応じ、当該各号に定める者に質問し、その者の事業に関する帳簿書類その他の物件を検査し、又は当該物件の提示若しくは提出を求めることができる。
一所得税に関する調査 次に掲げる者
イ(省略:納税者本人に対しての規定)
ロ(省略:源泉徴収票等を提出する者に対しての規定)
ハ イに掲げる者に金銭若しくは物品の給付をする義務があつたと認められる者若しくは当該義務があると認められる者又はイに掲げる者から金銭若しくは物品の給付を受ける権利があつたと認められる者若しくは当該権利があると認められる者
(以下省略)
ここでのポイントは「調査について必要があるとき」です。
税務署が「必要がある」と認定すれば、反面調査は行えると規定されていることになります。何て曖昧な規定・・・。
反面調査に行かれたあと、「何で行ったんだ!」と文句を言っても、「確認のため必要だから」と言われて終わりです。反面調査を完全に防ぐのは難しいことがお分かりいただけるかと思います。
それでも防ぎたい反面調査
とは言えやはり反面調査は防ぎたいものです。調査の現場で決まって「調査が入っただけで取引に影響が出る」と言われました。調査されたことはすぐに業界内に伝わるそうです。反面調査されれば尚更ですね。
反面調査を防ぐには、
- 資料をきちんと残しておく
- こちらで先手を打って取引先から資料を取り寄せる
- 本当に反面調査が必要か調査官に必要性を問う
- 調査官の求めには応じる(応じないと、「こちらで確認します」と言われてしまう可能性があります)
などの対応が重要です。資料が揃っていなくても、可能な限りこちらで揃えるから反面調査はしないように、と釘を刺しておきましょう。調査官も人間なので、その辺りはわかってくれると思います(そうでない人も居るには居ますが)。
まとめ
反面調査についてまとめてみました。
多いのはやはり資料と帳簿が合わない、資料がない等のケースや、あとは調査官の求めに応じない場合などです。
まずはしっかりと書類を残すように、そして日ごろから正しく帳簿を付けるよう心がけましょう。
【編集後記】
佐々木朗希投手、MLBに行ってしまうんでしょうか。マリーンズを優勝させてからにして欲しいな。