こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

インボイス制度が始まって早2年です。小規模な事業者の大きな味方であった「2割特例」の期限切れが来年9月に迫っている中、政府与党がこれの延長を検討しているとの報道がありました。

この2年で景気が良くなっているとも生活が楽になっているともほとんど感じることはできない方が多数でしょう。さらなる負担増を避け、現在の特例を続けるというのは望ましいことではないでしょうか。

2割特例

2割特例とは

免税事業者だったのにインボイスの登録により課税事業者となった場合に、支払う消費税を預かった消費税の2割とすることができる特例です。

消費税の計算は簡単に言うと、売上とともに預かった消費税から経費として払った消費税を差引き、残った金額を支払うという仕組みになっています。この特例は、経費の消費税額を実際の支払の有無に関係なく売上の消費税額の8割とすることができるものです。

任意適用のため実際の経費の支払が売上の9割ある、というような場合は摘要しなくてもOK(簡易課税の時はまた話が変わりますので注意)。

これによってインボイスが始まって消費税払わなくてはいけなくなったけど・・という場合でも負担を抑えることができます。

適用方法

適用には、消費税の確定申告書に適用を受ける旨記載(該当欄に〇を付ける)し、特例を使って計算するだけです。事前の申請などは不要となっています。

なお、基準期間の課税売上高が1,000万円を超える課税期間については2割特例を適用できないのでご注意ください。基準期間は、個人事業主の場合、その年の2年前(令和7年分の消費税なら、令和5年分)となります。

令和9年分以降の消費税では使えなくなる予定だが・・・

この2割特例は期間限定措置で、個人事業主なら令和8年分の消費税までしか使えないものでしたが、これを延長しよう!というのが今回の動き。

これは小規模事業者には朗報です。減税となると二言目には「財源が財源が」と言い出すのがお決まりですが、これは減税じゃないんだから財源を考える必要もないし。

インボイス登録がない事業者からの仕入税額控除の特例も延長

経費の支払先がインボイスを発行しない免税事業者の場合は、経費を支払った側は消費税の計算をする際、その経費にかかった消費税を引くことができません。

しかしこの制度の過渡期にいきなりそれをすると混乱と負担が大きいことから、インボイス登録が無い事業者へ経費を支払った場合であっても、その消費税額の8割を引くことができるという特例もあります。

こちらも期間限定の措置でしたが、延長を検討するそうです。

終わりに

2割特例は計算も楽なのでその面からの負担も少なくなり、とてもありがたいものです。

ぜひ延長して欲しいですね。