こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

先日、国税庁が令和6事務年度の所得税調査等の状況を公表しました。

3年連続過去最多を更新

国税には3つの一年があり、調査の事績は事務年度単位でカウントします。

・暦年である1月~12月

・通常の年度である4月~3月

・国税独自の事務年度である7月~6月

今回公表されたのは令和6事務年度、令和6年(2024年)7月から令和7年(2025年)6月までの1年間の追徴税額です。

発表によると、国税局全体で個人の税務調査を73万件余り行い、申告漏れ所得金額は前年比93.5%の9317億円、追徴税額は同2.4%増の1,431億円。

追徴税額は3年連続で過去最多更新だそうです。

前年に引き続きAIを活用

前年に引き続き、AIを取り入れ申告漏れの事例を学習させ、税務調査を行う手法を取り入れたことが大きな要因としています。

特に富裕層の申告漏れが前年比27.8%増となっていて、有価証券や不動産などの大口保有者や継続的に所得が高いといった条件を満たす納税者を「富裕層」と定義して重点的に調査をしています。

だからと言ってスモールビジネスを営む個人事業主が調査の対象とならない、ということはなく、税務署の調査官が扱う調査事案は多くがその小規模な個人事業主が対象です。
(富裕層など大規模な事案は局やそれ専門の調査官が行うことが多いです)

「自分の所は規模が小さいから調査は来ない」という考えは止めましょう。

申告漏れの多い業種

令和6事務年度、申告漏れが多かった職種のランキングも公表されています。

それによると、1位はキャバクラ、以下2位眼科医、3位ホステス・ホスト、4位経営コンサルタント、5位太陽光発電となっています。

上位は例年、よく挙がる業種ばかりですが眼科医だけちょっと特殊。何か大きな調査があったのかもしれませんね。

重点的に行われる項目は

これも例年どおりなんですが、国税が「重要課題」と位置付けて重点的に行う調査項目も記載されています。

無申告の方、インターネット取引、消費税の還付申告、所得税の不正還付など。

これらに対しては積極的に調査を行っているとしていますので、該当する方は留意いただければと思います。

終わりに

調査件数は前年比約13万件増となっていますが、相手先に赴く「実地調査」の件数は減り、文書などで接触する「簡易調査」の件数が増えています。

AIの活用でピックアップする件数を増やし、より効率的に追徴できそうな事案は実地調査を、そうではない事案を簡易調査として、ガンガン調査をやっているような印象です。