こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

税務調査でよく聞くのが「払ったけど領収書がない」「領収書が無ければダメですよね?」というもの。

必ずしもダメではありませんが、注意が必要です。

そもそも領収書がないものもある

必要経費として計上するためには領収書があった方がいいのは間違いありません。払った証拠ですからね。

もちろん、領収書があるだけではダメです。それが仕事に必要な支払であることが求められます。証明、説明は税務調査のときにしますので、申告時には提出する必要ありません。

で、その領収書ですが、そもそも出ない支払いもあります。

電車やバスなどの交通費。得意先・取引先への結婚祝いや香典。現場仕事で従業員や外注先に買う自販機での飲料代。

これらの支払に領収書やレシートは出ません。でも必要経費として計上することは可能です。

何らかの方法で支払履歴を残すことが重要

領収書やレシートが出ない経費については、何らかの方法で支払ったことを示すモノを残しましょう。

交通費ならSuica等で支払っていれば使用履歴が印字できます。

結婚祝いやお香典は、招待状・礼状などを残し、金額を記載しておきましょう。

自販機での飲料代は、いつ、どこで、誰に対し、何のために何をいくら買ったのか、といったこと等を出金伝票などに残しましょう。

領収書を失くしてしまったような場合は、まず再発行を求めましょう。
再発行が無理なら、請求書や納品書、連絡メールなど、何でも構わないので支払ったことが分かるようなものがあればそれを、なければ出金伝票を残しましょう。

これらを作成した帳簿とともに保存しておけば、そうそう税務調査で否認されることはないはずです。

注意①更正の請求

更正の請求とは、当初提出した確定申告書の税額が過大であったり、還付額が過少であった場合に直すための手続きです。

更正の請求には、追加や変更になる内容の証拠書類を添付する必要があります。

この更正の請求で、上記のような支払いを経費として追加し、税額の減額を税務署に認めてもらうのは非常に難しいです。

その支払いが
・業務に必要であったこと
・当初の申告の経費に入っていないこと
・実際に支払っていること

これらを証明する必要があるからです。

こうした更正の請求は税務署の現場でもよくありましたが、認められないことも多かったです。

更正の請求で認めてもらうのはハードルが高いのが現実ですので、当初の申告に入れ忘れないようにしてください。

注意②消費税

消費税の計算で、払った経費を消費税の仕入税額控除(受け取った消費税から差引くもの)とするためには、インボイスが必要です。

そのため、所得税で「領収書を失くしてしまった!伝票で代用したから大丈夫!」というような場合でも、原則として消費税では認めらません(自動販売機、公共交通機関に関する特例など、特例に該当するものは認められます)。

終わりに

領収書を失くしてしまった場合、出金伝票を使って代用するという方法はあくまで緊急避難的なものです。

あまりに多用するのは避けた方がいいでしょう。やり過ぎは税務署に不審に思われます。

調査で説明するにしても、本来領収書があることが原則なのですから、疑われると覆すのは難しいです。

【編集後記】
ちょっと話は違いますが、私も歯医者の領収書失くしたことがあります。その年は医療費控除をできる位の医療費がありましたが、歯医者の分は諦めました。

領収書を失くした物に関してはある程度諦め、次回への教訓とするのも良いと思います。あらぬ疑いを掛けられるも嫌ですしね。