
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
「30万円未満の資産は全額経費にできる」
青色申告をする方にとってはお馴染みの少額減価償却資産の特例ですが
令和8年度税制改正で制度創設以来初となる大きな見直しが行われました。
その内容について簡単にまとめてみます。
制度のおさらい ー 少額減価償却資産の特例とは?
少額な減価償却資産は買った年にその費用を一括で経費にできる。
これが「少額減価償却資産の特例」です。まずは基本的な仕組みについて。
これまでの仕組と対象者
少額減価償却資産の特例は、
一定額未満の減価償却資産を取得した場合に、取得価額の全額をその年に必要経費に算入できる制度です。
この制度は、中小企業の事務負担軽減と設備投資促進を目的として、平成15年度に創設されました。
通常であれば数年に分けて費用化する減価償却資産を購入した年に一括処理できるため、節税効果が期待できるいうものです。
たとえば25万円のパソコンを購入した場合、通常の減価償却では耐用年数4年に分けて毎年費用化しますが、
本特例を使えば購入年度に25万円の全額を経費にできます。
ただし、適用を受けるには以下の要件をすべて満たす必要があります。
- 青色申告書を提出する中小企業者(常時使用する従業員の数が1,000人以下の方)
- 取得価額が30万円未満の減価償却資産が対象(合計300万円まで)
- 確定申告書に少額減価償却資産の取得価額に関する明細書を添付することが必要
※明細に代え、青色申告決算書の「減価償却費の計算」欄に次の事項を記載して確定申告書に添付して提出し、かつ、当該少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管することにより適用を受けることができます。
・少額減価償却資産の取得価額の合計額
・少額減価償却資産について租税特別措置法第28条の2を適用する旨
・少額減価償却資産の取得価額の明細を別途保管している旨
通常の減価償却や一括償却との違い
少額減価償却資産の特例は選択制であり、必ず適用しなければならないものではありません。
整理しておきましょう。
特に一括償却資産(20万円未満)は市町村への償却資産税の申告対象外となる一方、
少額減価償却資産の特例は償却資産税の申告が必要という違いは、
意外と見落とされがちなポイントになります。
| 取得価額 | 処理方法 | 償却方法 | 償却資産税の申告 |
|---|---|---|---|
| 10万円未満 | 消耗品費などで計上 | 取得時に全額経費 | 不要 |
| 10万円以上20万円未満 | 一括償却資産 | 3年均等償却(1/3ずつ) | 不要 |
| 10万円以上30万円未満(改正前) | 少額減価償却資産の特例 | 取得時に全額経費 | 必要 |
| 30万円以上 | 通常の減価償却 | 耐用年数に応じて償却 | 必要 |
20万円未満の資産については「一括償却資産として3年均等償却を選び、償却資産税の申告を不要にする」という選択が可能です。
例えば購入した年は開業年などで売上があまりないものの、翌年はボーンと上がるような場合、少額減価償却資産の特例を使うと却って損をしてしまうこともあります。
制度の使い分けは節税額と事務負担のバランスが大事になります。
なお、一度選んだ方法は修正申告や更正の請求で選択替えをすることはできないので注意してください。
税制改正のポイント
昨年の改正でこの特例が大きく見直されることとなりました。
施行は令和8年4月1日の見込みとなっています。
今回の改正ポイントは、以下のとおり。
取得価額の上限が30万円未満から40万円未満に拡大
最も大きなポイントはこれです。
これまで30万円未満だった基準が40万円未満に引き上げられました。
たとえば35万円の高性能パソコンやコピー機なども購入した年に一度で経費にすることができます。
なお、昨今の物価高を反映してとのことですが、10万円未満のものを消耗品として計上したり20万円未満の一括償却資産などの基準は変わっていません。何だかなぁ・・と思います。
合計300万円は変わっていない
少額減価償却資産の特例はこれまで「30万円未満のもの」を購入年に一度に償却できるものでした。
これには合計の限度があり、取得価額の合計額が300万円を超える場合は300万円に達するまでの少額減価償却資産の取得価額の合計額が限度となります。
この合計額が400万円になるという話はまだ聞いていません。
このHPをご覧になっている方は小規模個人事業主の方が多いかと思いますので、一年に300万円もの設備投資をする方はあまりいないかと思いますが、一応の注意点となります。
合計額を上げないと台数的には減ってしまうので、合わせて上げるべきなんじゃないか・・?と思うのですが、どうなるでしょうか。
令和8年3月31日以前に取得した資産は30万円基準
令和8年3月31日以前に取得した資産には旧基準(30万円未満)が適用されます。
「改正が決まった」といって、35万円の資産に新基準を適用することはできません。
なお、いまだ改正法案は国会審議中であるため、正式には法案成立後に施行日が決まりますのでご注意ください。
まとめ
・取得価額の基準が30万円未満→40万円未満に拡大
・年間合計300万円の上限は変わらず据え置き
・施行日前(令和8年3月31日以前)に取得した物は30万円未満の基準となる
うまく利用していただければと思います。
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