
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
確定申告期間がスタートしました。所得税は3月17日(月)までですが、消費税は3月31日(月)までが期限です。
インボイス登録をしていなければ、基準期間(個人事業主は原則として2年前)の課税売上高が1千万円以下であれば原則として免税事業者となり、消費税の申告・納税の義務はありません。
また、インボイス登録をしている方でも、基準期間の課税売上高が1千万円以下などの要件を満たせば、「2割特例」という特例により消費税の納税額を低く抑えることができます。
では課税売上高はどう計算するのか、というお話です。
課税売上高とは
課税売上
次の4つの要件を全て満たす取引の売上を、課税売上といいます。
- 国内において行う取引(国内取引)であること
- 事業者が事業として行う取引であること
- 対価を得て行う取引であること
- 資産の譲渡、資産の貸付け又は役務の提供であること
消費税及び地方消費税は、課税売上に対して課税されます。
課税売上は、基本的には事業に関する通常の売上です。
課税売上に含まれないものとしては、例えば利息や土地(借地権等を含む)の売却・賃貸、医師の社会保険診療収入などがあります(非課税取引)。
また、保険金や消費税の還付金、国や地方公共団体からの給付金などは、資産の譲渡や役務の提供の対価として受け取るものではないため、消費税の課税対象ではありません(不課税取引)。
課税売上高
課税売上高は次の算式で計算します。
課税売上高 = 消費税の対象となる取引の売上高 + 輸入取引の売上高 - 返品等
課税売上高は税抜?税込?
課税売上高は税抜きとされています。
しかしここで混乱が生じます。
2年前・令和4年の課税売上高が1,100万円だった方が2人いたとしましょう(インボイスは無視します)。
Aさんは連年課税売上高が2,000万円あり、消費税を申告していましたが、2年前だけ売上が1,100万円でした。
Bさんは連年課税売上が900万円で免税事業者のため消費税の申告はしていませんでしたが、2年前だけ売上が1,100万円でした。
さて、この場合二人の課税売上高はいくらになるでしょうか。
答えは
Aさん:1,000万円
Bさん:1,100万円
となります。
Aさんは令和4年も消費税の納税義務がある(連年売上が2,000万円のため)ので、課税売上高には消費税が含まれていると考えます。よって税抜きである1,000万円が課税売上高となり、令和6年は消費税の納税義務がありません。
対してBさんは、令和4年は免税事業者です(連年売上が900万円のため)。免税事業者は、本人がいくら「税込だ!」と主張してもその売上には消費税が含まれていないという扱いになっています(それでも「税込」として請求したり値段を表記したりすることは可とされています)。
そのため、課税売上高を税抜きで計算しても1,100万円となるわけです。
Bさんは令和6年は消費税の納税義務者となります。
まとめ
課税売上高の計算を誤り、本来消費税の納税義務があるのに申告をしていなかった場合、無申告者として扱われ、調査対象として選ばれやすくなります。
インボイスが始まりこうしたケースも減ったと思いますが、インボイスでも2割特例には影響する話です。
注意してください。
【編集後記】
問い合わせをいただき、メールを返信したところ、アドレスの誤りか何かで届かない(MAILER-DAEMON)、ということが最近何度かありました。
決して無視をしている訳ではないのですが、問い合わせをいただいた方にはそう映っていると思います。大変申し訳ありません。