こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

個人事業主向けに小規模企業共済というものがあります。

「お得だよ」とは言うものの、どういったものなのかよくわからないという声を聞くことがあります。

ということでまとめてみます。

小規模企業共済とは

小規模企業共済は、ざっくり言ってしまうと個人事業主の退職金です。

もちろん、個人事業主は退職金はありませんので、代わりに小規模企業共済に加入し、税制上の優遇を受けながら退職金代わりに積立てをして将来受け取ろうというものです。

独立行政法人である中小企業基盤整備機構が運営しているものなので安全性も高く、掛金は運用して増やしてくれます。

積立てた掛金+運用益を、老後や廃業時に受け取ることができるという制度です。

掛金は月額1,000円~70,000円まで、500円単位で設定可能。いつでも変更できるのが大きな特徴です。

税金面での優遇措置

支払時に掛金が全額控除

小規模企業共済の掛金は、払った金額全額が所得控除になります。

税金(所得税・住民税)は、所得金額(個人事業主の場合は事業の利益)から「所得控除」を差引き、残った金額に税率を掛けて税金を計算します。

そのため「所得の減少」又は「所得控除の増加」があると、税金は安くなります。

小規模企業共済はこの「所得控除」になるので、税金が安くなる、という訳です。

いくらくらい税金が安くなるのか。

所得税の税率は5%から45%まで段階的に上がります。住民税は一律10%です。

減税効果は、掛金×税率となります。掛金と、所得税・住民税を合わせた税率を以下の表にまとめてみました(復興所得税は細かくなるので除外)。

税率(所・住合計)/
月額掛金
20%30%43%55%
10,00024,00036,00051,60066,000
30,00072,000108,000154,800198,000
50,000120,000180,000258,000330,000
70,000168,000252,000361,200462,000

仮に最高額である462,000円を、個人事業主を引退するまで30年続けたとすると13,860,000円にも及びます。

受取時の税金(退職所得として受け取った場合)

掛金は840,000円/年×30年で25,200,000円。プラス運用益を退職所得として受け取ることが可能です。

退職所得には税金がかかりますが、2520万円、30年で税金を計算すると、負担は所得税・住民税合わせておよそ111万円程度。

1386万円の節税に対し、負担は111万円。

これは最高額を掛けて最高税率で計算しているので、一番大きな金額になる試算ではありますが、小規模企業共済がだいぶお得な制度であることが分かっていただけるんじゃないかと思います。

終わりに

ということでお得な小規模企業共済ですが、任意に解約した場合は税負担が上がってしまったり、20年未満の年数では元本割れするといった損になってしまう場合もあります。

掛金は簡単な手続きで変更できるので、支払がきつければ金額を下げましょう。余裕が出ればまた上げればいいだけです。

【編集後記】
残念な点もあり、オンラインでこれまでの掛金の合計やら運用状況が確認できません。年に一回状況通知が来るのでそれで見るか機構に聞くしかない。
これが出来るようにシステム構築中と謳っていなので期待しています。