こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

将来受けるべきサービスの対価を前払した場合(例えば来月分の家賃など)には、そのサービスを実際に受けるまでは必要経費とはならず、前払費用という資産で計上し、サービスを受けた時に経費として計上するのが原則です。

ですが中には支払ったときに必要経費として算入できる短期前払費用の特例というものがあります。

規定の内容

所得税基本通達に定めがあります。

所得税基本通達 37-30の2

前払費用一定の契約に基づき継続的に役務の提供を受けるために支出した費用のうちその年12月31日においてまだ提供を受けていない役務に対応するものをいう。以下この項において同じ。)の額はその年分の必要経費に算入されないのであるが、その者が、前払費用の額でその支払った日から1年以内に提供を受ける役務に係るものを支払った場合において、その支払った額に相当する金額を継続してその支払った日の属する年分の必要経費に算入しているときは、これを認める。

本来はサービスを受けたときに必要経費とするものの、要件を満たせば特例として支払ったときに経費とできるとされています。

特例適用のためのルール

乱用し利益操作による税金のコントロールをすることはできません。そのため、特例の適用にはルールがあります。

一定の契約に基づいている

契約に基づかなければなりません。契約していないのに1年分の賃料を勝手に前払し、必要経費に算入させることはできません。

継続的なサービスの提供を受けるもの

そのサービスの性質が「継続的に役務の提供を受ける」ことが必要になります。

代表的なのは家賃や保険料など。これらは「今月はこういうサービスだけど、来月は違った内容」ということはありませんね。

広告料や税理士顧問報酬などの支払はこの要件に該当せず、「前払金」となります。

いわゆる「等質等量のサービス」を受ける支払いがこの規定の適用対象となります。

支払日から1年以内にサービスの提供を受けるもの

この要件は、支払った日から1年以内にサービスを受けるものでなければなりません。

従ってたとえ家賃の支払いであったとしても、2年分をまとめて支払ったりした場合には対象外になってしまいます。

継続して同じ方法で経理すること

あくまで経理を簡単にするための特例であって、利益や税金を操作するものではありません。

短期前払費用は「このルールを継続する」ことが必要です。去年は所得が出てたから特例適用したけど、今年は所得があまり出てないからやめよう、ということにならないよう注意してください。

【編集後記】
暑くなってきました。夏も近いですね。