税務調査、受けて喜ぶ人はまずいないでしょう。
税務署から「調査します」と連絡が来たら、何とか逃げたいと思うもの。
しかし調査からは逃げられません。税務署からの連絡を無視したり、逃げようとした場合どうなるか、解説します。
任意調査と強制調査
税務調査には「任意調査」と「強制調査」があります。
「強制調査」とは、国税局査察部(いわゆるマルサ)が捜査令状を持って行う調査です。捜査令状があるため、本人の承諾は不要、拒否できません。
刑事処分を前提としており、追徴課税のみならず、刑罰が科される可能性が高いです。
一方の「任意調査」。一般的に行われる税務調査のほとんどはこれです。
「任意なんだから断れるんでしょ」と、調査官時代、よく勘違いされました。しかし税務調査は断れません。
「国税通則法」という法律で、
・調査官は相手への質問や帳簿書類の検査等ができる(これを「質問検査権」と呼んでいます)
・調査官の質問に答えなかったり、偽りを述べた場合などは罰則がある
と規定されているためです。
任意とは書類の確認等に同意を求めるだけの意味で、調査を受けるかどうかを任意に選べるということではありません。
調査の連絡が来たら逃げることはできない、ということを知っておいていただければと思います。
調査を拒否したり、非協力的であった場合どうなるか
では、調査を拒否したり、非協力的な態度を取るとどうなるでしょうか。
実際に自分が調査官のときどういうことがあったか、具体例を交えてお話します。
多くの方は、渋々ながらも調査に応じてくれましたが、中には拒否する方もいました。
当日訪問したらいない、延期を繰り返す、声を荒げ怒鳴り散らす、等々…。
また、調査中、非協力的な態度を示す方もいました(中には税理士にもいました。表面上は「協力する」という態度でしたが)。
そんなことをしても良いことは一つもありません。調査は無くなりませんし、むしろ調査官の態度を強硬なものに変えてしまうだけです。
税務署の権限は、思う以上に強力です。止めましょう。
相手方の協力を得られない場合、税務署は「更正」手続きをします。
更正
「更正」とは、簡単に言うと税務署が修正金額を決めることです。
よく「税務署が金額をいいように決める」と解説される税理士がいますが、そんなことはしません。裁判などで争ったときに、負けるからです。
税務署といえど、根拠なく金額を決めると争った場合に負けるため、特に売上金額を中心に、徹底的に調べます。
「税務署が調べてくれるなら楽でいいや、拒否しよう」と思うかもしれませんが、税務署が行うのは「反面調査」と言い、全ての取引先や金融機関などを調査します。
「反面調査」があると、特に取引先に調査を受けていることがバレてしまい、今後の取引に悪影響が出てしまう可能性があります。
先ほどの非協力的だった税理士の調査でも、反面調査を行いました。後ほど電話が来ましたが、税務署側は「こちらは何も悪いことはしていない」という態度です。
やるとなったら徹底的にやるのが税務署です。そこに税理士の有無は関係ないのです。
「税務調査は国税当局ととにかく強気に戦う!」という方針の税理士もいらっしゃいます。戦い方が大事になってくると思います。「税務署の求めに応じつつ、こちらの主張は正しく、きちんと行う」これが大事になります。
まとめ
税務調査からは逃げ切ることはできません。
調査の連絡が来たら、協力し、スムーズに進めること。結局はこれが一番損しません。
「悪いことをしていた」という心当たりがある方こそ、しっかりと対応し、今後は適切な申告を心がけることが大事であると思います。
もちろん、調査官の言いなりになる必要はなく、主張すべき部分はきちんと主張しましょう。
対応に不安のある方は、税理士への依頼も検討してみてください。
当事務所でも調査対応を承っております。
↓から詳細をご覧いただき、ぜひお気軽にお声がけいただければと思います。