こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

個人事業主となった以上、帳簿作成は必須です。

これを怠ると・・・税務調査でのペナルティがアップしてしまう可能性があります。

税務調査でのペナルティ

税務調査におけるペナルティには大きく2つ、「加算税」と「延滞税」があります。どちらも調査でなくとも発生するものですが、とくに加算税が税務調査で課せられるときは通常より重くなります。

加算税とは、正しく申告等をしなかったことに対してのペナルティです。期限内に、正しく申告等をした人とそうでない人との公平性を保つことが目的で、以下の4種類があります。

種類内容
過少申告加算税期限内にした申告について、税額が過少で修正申告・更正があった場合
無申告加算税申告期限後に申告した場合又は期限後の申告に対して修正申告・更正があった場合
不納付加算税源泉徴収等による国税を法定納期限までに納付しなかった場合
重加算税隠蔽・仮装があった場合に、上記に代えて課される

個人事業主の調査で多いのは、過少申告加算税・無申告加算税と、脱税認定されたときに課税される重加算税です。

このうち帳簿がないことにより加重されるペナルティの対象は過少申告加算税と無申告加算税とされており、重加算税は対象外となっています。

加重される割合

税務調査では必ず帳簿を確認します。そりゃそうですよね。帳簿を見なければ始まりません。

そこで「帳簿作っていません」と言われると・・・。じゃあどうやって申告書作ったの?どう計算しているの?と厳しく詰められてしまいます。

そもそも帳簿作成は事業主の義務であり、その義務をきちんと守らせることを目的に、帳簿の適切な作成が無い場合の加算税の加重措置が設けられました。

加重割合は以下のとおり。

① 帳簿の提示等をしなかった場合
⇒ 10%加重
② 帳簿への売上⾦額の記載が、正しい⾦額の1/2未満の場合
⇒10%加重
③ 帳簿への売上⾦額の記載が、正しい⾦額の2/3未満場合
⇒5%加重

原則、税務調査の結果課される過少申告加算税は10%、無申告加算税は15%で、これに上記の割合が加算されることとなります。

適用は令和5年分の申告から

この加重措置の適用範囲は、申告期限が令和6年1月1日以降のものとされています。

回りくどい言い方をしていますが、原則令和5年分以降の所得税・消費税の申告となります。

既に始まっているということですね。

調査は過去3年分・5年分と遡ってされますので、今時分に行う調査は加重措置が無い年分~ある年分にかけて、ということになります。

「帳簿」の範囲

この制度の対象になる「調査に必要な帳簿」は次のとおりです。

○青色申告者・・・仕訳帳・総勘定元帳

○白色申告者・・・売上帳

白色申告の場合は売上帳だけでOK。ただし、ざっくり「○月○日 △△△円」などと記載したノート等では不十分で、「取引年月日」「取引先の名称」「金額」といった内容がキチっと整理されて記録されたものでなくてはなりません。

しかし中々それも大変・・という場合、「ざっくり記載ノート」に加えて、取引先への請求書等の控えといった書類をきちんと保管しておけばOKです。箱にバサッと収納では認めてもらえない可能性がありますので注意してください。

終わりに

帳簿を作成するのは面倒くさいと思います。それに割く時間は本業に集中したい、というお気持ちもわかります。

ですが個人事業主となった以上、帳簿作成は義務です。

調査の連絡が来てから慌てることがないよう、コツコツと作成することをお勧めします。

時間が無い、面倒くさい、という気持ちが勝るのであれば、税理士への依頼も検討してみてください。お金を取るか時間を取るか、です。