こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
河野太郎デジタル相が「年末調整を廃止して、すべての国民に確定申告をしていただきます」とSNSに投稿。
賛否両論、大荒れとなっていますね(否、の方が多いのかな?)。
税理士のSNSも大賑わいとなっています。
そもそも目的は?
「どれだけ税金を納めているかを知ってもらうことで、税の使い道に厳しい目を注いでいこうという環境が作られる。」
「全納税者が確定申告すれば企業の手間がなくなる」
こう仰っているそうです。まぁ確かにそのとおりだと思います。
ならばついでに源泉徴収も住民税の特別徴収もなくしてください。痛税感が思いっきり味わえるはずで、「税金の使い道に対する国民の目」はとても厳しくなること請け合いです。
税務署はどうなる?パンクする?
「電子申告が普及すれば十分賄える、だから税務署は大丈夫」と仰る税理士もいます。
しかしついこの前まで税務署にいた身からすると、多分パンクすると思います。
確かに、電子申告で申告自体はスムーズにできるでしょうし、申告書の処理の負担はパンクするほど増えるわけではないとは思います(それでも相当の負担増は間違いない)。
まずいのは還付金の処理部門ですね。今でさえ、還付金処理部門はいっぱいいっぱいでした。年末調整では大体の人は税金が還ってきているわけで、そうすると確定申告は還付申告になります。
還付申告、何件くらい増えるんでしょう。国税庁HPによると、給与所得者は5,967万人。確定申告書を提出した人は2,295万人。仮に確定申告書を提出した人全員が給与所得者だったとすると、その差は約3,700万人。
実際には個人事業主や年金所得者も多いわけで、「確定申告書を提出した人のうち給与所得者」はもっと少ないはずですから、申告対象者は4,000万件くらい増えるのかな。
確定申告の処理だけで税務署の1年は終わりますね。調査どころではなくなってしまいます。
税理士は儲かるのか?
そうなると税理士は儲かるのか?ということが気になります。
答えはNO、でしょうね。年末調整代わりにする確定申告での還付金。仮に1万円の還付だとして、納税者が納得できる税理士費用はいくらくらいでしょう。
税理士からすると単価が安すぎる、というのがその理由です。
この際、給与所得控除も無くしてサラリーマンも経費を自分で出すようにしましょう!とでもなれば話は変わってきますが・・・。
終わりに
「国民が税の使い道に厳しい目を注いでいこうという環境が作られる。」
年末調整を廃止するだけなら、年末調整でもらっていた還付金を確定申告でもらうだけなんで、「めんどくせ」で終わります。
本当にそう考えているのなら源泉徴収も住民税の特別徴収もぜひ廃止にして欲しいですが、絶対にやらないだろうな。滞納者が出て税収は確実に減りますからね。
そう考えると源泉徴収と年末調整って神のような仕組みですね。負担は企業に押し付け、政治家は確実に税収を得て、国民は痛税を感じにくい。
色々と荒れてるみたいですが、国民が税について考える一つのきっかけにでもなるなら、意味のある提言だったと思います。
【編集後記】
千葉ロッテ、CSも怪しくなってきました。
私が生きている間に優勝(正確には勝率1位での優勝)はあるのでしょうか・・・。
もう30年以上待っています。頑張って!