
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
1月6日が今年の税務署の仕事始めです。令和6年分の確定申告もスタートします。
今年から大きく変わったことがあります。確定申告書をはじめとしたあらゆる書類の控えに、税務署の収受印が押されなくなります。
目的はe-Taxの更なる普及
国税庁のHPには以下の記載がありました。
概要
国税庁においては、納税者の利便性の向上等の観点から、「あらゆる税務手続が税務署に行かずにできる社会」を目指し、申告手続等のオンライン化、事務処理の電子化、押印の見直し等、国税に関する手続や業務の在り方の抜本的な見直し(税務行政のデジタル・トランスフォーメーション(DX))を進めているところです。
こうした中、e-Tax利用率は向上しており、今後もe-Taxの利用拡大が更に見込まれることや、DXの取組の進捗も踏まえ、国税に関する手続等の見直しの一環として、令和7年1月から、申告書等の控えに収受日付印の押なつを行わないこととしました。
※対象となる「申告書等」とは、国税に関する法律に基づく申告、申請、請求、届出その他の書類のほか、納税者の方が、他の法律の規定により、若しくは法律の規定によらずに国税庁、国税局(沖縄国税事務所を含む。)、税務署に提出される全ての文書をいいます。
税務署の職員だったころ、確定申告書の控への押印は一大業務でした。
私は個人課税部門という確定申告事務を所掌する部門にいたため、会場での相談業務に従事することがほとんどでしたが、他部門の担当者が交代しつつ一日中収受印を押していました。
今や所得税の確定申告のe-Tax率は7割を超えるそうです。国税局は事務の効率化を図るため、更にこの率を増やしていきたいのです。
何やら言い繕っていますが、もっとe-Taxを使わせるため控えへの収受印の押印を廃止したということは明白です。
郵送するときは記録が残る方法で
窓口提出はもちろんのこと、郵送による提出でも控えに収受印は押されません。
これまでは郵送で提出された場合、控えと共に返信用封筒があれば、控えに押印の上返送していました。納税者にとってはそれが記録になりますし、確実に提出したという安心感を得ることができました。それが無くなります。
これまで控え・返信用封筒と共に郵送で確定申告書を提出していた方は、今後郵送するときはぜひ簡易書留や特定記録郵便など記録が残る郵便で提出するようにしてください。
この時期、税務署にはもの凄い数の書類が届きます。申告書と添付書類を別々に送ってくる方もおり、書類の整理に手一杯になります。
毎年毎年、出した出さないのトラブルが必ず発生します。記録が残っていれば責任は確実に税務署になります。
郵送料は少しかかりますが、安心を得るための費用と捉えていただければ。
提出した申告書を確認したいときはどうする?
控えに収受印がない、でも金融機関や保育所など子どもの関係で控えが必要だ、というときの対処方法を紹介します。
e-Taxで申告書を提出した場合
e-Taxで申告等データの送信が完了した後、送信されたデータの受信通知がメッセージボックスに格納されます。受信通知では、申告書等を提出した者の氏名又は名称、受付番号、受付日時等を確認することができます。
また、受信通知から電子申請等証明書の交付を請求することもできます。
なお、個人の利用者が受信通知の内容を確認する場合、マイナンバーカード等の電子証明書が必要です。
受信通知の確認方法については、「e-Taxを利用して申告等データを送信した場合、税務署の受付日時等はどのように確認できますか。」(e-Taxホームページ) を参考にしてください。
紙で申告書で提出した場合
申告書等情報取得サービス(オンライン請求のみ)
所得税の確定申告書、青色申告決算書及び収支内訳書について、書面により提出している場合、パソコンやスマートフォンからe-Taxを利用してPDFファイルを無料で取得することができます。
なお、利用に当たっては、マイナンバーカードが必要です。
また、直近3年分のみ取得でき、それよりも過去の分はできません。
(e-TaxHP:申告書等情報取得サービス)
申請から取得まで多少時間がかかります。試しに私もやってみましたが、1週間ほどかかりました。
保有個人情報の開示請求
開示請求という手続により、提出した申告書等の内容を確認することができます。ただし、法人は利用できず、個人の申告書等のみです。
また、この手続きは手数料と時間がかかりますので注意です。
手数料は300円(オンライン申請の場合は200円)です。
(国税庁HP:e-Taxを利用した開示請求等のオンライン申請について)
税務署での申告書等の閲覧サービス
税務署で「見せてください」と申請し、見せてもらうものです。あくまで「閲覧」なので、写しの取得はできません。
ただし、写真撮影は可能です。なお、閲覧サービスには手数料はかかりません。
(国税庁HP:申告書等閲覧サービスの実施について(事務運営指針))
納税証明書の交付請求
納税証明書の交付請求を行うことにより、確定申告書等を提出した場合の納税額、所得金額又は未納の税額がないことの証明書を取得することができます。
手数料は、税目ごと1年度1枚につき400円(オンライン申請の場合は370円)です。
(国税庁HP:納税証明書の交付請求手続)
控えの代わりになるものはあるのか?
国税庁のQ&Aでは、提出書類の記録としてリーフレットを交付するとしています。

果たしてこれが金融機関や教育機関で、証明としてどの程度機能するかはわかりません。事前に先方に確認した方が良いかと思います。
まとめ
今まで普通郵便で書類を出していた方は、簡易書留や特定記録などで提出することをご検討いただければと思います。
また、収受日付印の押印が廃止となりますので、これを機に書面提出をしていた方はe-Taxへの切り替えを検討する一つのきっかけになると思います。
この見直しでお困りごと等ございましたら、ぜひお気軽にご相談ください。
【編集後記】
初めのうちはトラブルが多そうですね。