こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

住宅ローン控除の適用要件の1つに、「控除を受ける本人が、住宅取得後6ヶ月以内に居住し、年末まで住み続けること」というものがあります。

ですが、一定の場合、本人が住んでいなくても住宅ローン控除を受けられる場合があります。

転勤等の理由で居住できなくなった場合

転勤等の理由で居住できなくなる場合、次の要件を満たせば引き続き住宅ローン控除を適用することが可能となります。

  • 転勤、転地療養その他のやむを得ない事情により居住できなくなること
  • 単身赴任など、妻子や扶養親族など生計を一にする家族と別居しており、住宅には家族が引き続き居住していること
  • やむを得ない事情が解消したときに再度居住することが認められること

特段の申請は不要ですが、申告後に税務署などから証明を求められるケースがありますので、必要な書類などを確認の上提出するなどの対応をしてください。

気を付けていただきたのは、「やむを得ない事情」による別居であること。

自己都合の別居は認められません(家族と折合いがつかないとか・・・)。

税務署の職員として判断に迷ったのが、微妙な距離での別居でした。隣の市で別居なんかですと「通えるだろ!」とすぐわかるんですけど、隣の県とかだと微妙なライン・・・。

税務署から連絡があった場合は、指示をよく確認してください。

郷里に住宅を新築した場合

「現在は社宅に居住、3年後に郷里に帰るため前もって住宅を新築。妻子だけ先に郷里に建てた住宅に住むことになりました」

このような場合も、先ほどと同様になります。

  • 転勤、転地療養その他のやむを得ない事情であること
  • 妻子や扶養親族など生計を一にする家族が取得後6ヶ月以内に居住し、年末まで引き続き居住していること
  • やむを得ない事情が解消したときに居住することが認められること

これらの要件を満たせば、住宅ローン控除を適用することが可能です。

生計が別の家族を先に住まわせる、などの場合は適用はできませんので注意ください。

税務署で、このケースで7,8年前に購入、ようやく単身赴任が解消したから申告に来ました、という方の相談を受けたことがあります。

要件を満たしているのでもちろん、住宅ローン控除の申告は可能だったんですが、確定申告は最大で5年分しかできません。

残念ながらそれより古い分の控除は受けられませんでした。

時効にも気を付ける必要がありますね。申告はすぐしましょう。

災害などの特例

災害などで居住できなくなった場合でも、住宅ローン控除を適用できます。

補修などで数ヶ月居住できなかった場合

住宅ローン控除の適用には「引き続き年末まで居住する」必要があります。

原則として、途中で引っ越したような場合は適用できなくなります。

台風など災害による損壊で、住宅補修のため数ヶ月居住できなかったような場合は、その期間も引き続き居住しているものとして取扱うこととされています。

災害で居住できなくなった場合

住宅ローン控除の適用を受ける住宅が、災害により居住できなくなった場合でも、控除適用期間内において、この控除を引き続き受けることができます(平成29年分以降の年に限ります)。ただし、一定の場合は対象外になります。やや細かいので、以下の国税庁HPを参照してください。

国税庁HP:災害により被害を受けたときの住宅借入金等特別控除の適用期間の特例等

災害の範囲

災害とは、次のいずれかの場合とされています。

  • 震災、風水害、冷害、雪害、落雷など自然現象の異変による災害
  • 火災、火薬類の爆発など人為による異常な災害
  • 害虫などの生物による異常な災害

終わりに

税務署に勤務していた時、災害のケースは見たことがありませんでしたが、転勤のケースはよく見ました。

やむを得ない事情で別居、かつ家族が住んでいることがポイントです。

【編集後記】
自分の申告をしなくては・・・。