こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。

税務署に勤務していたとき、税務調査の中で「私はこの後逮捕されるんですか?」と何度か聞かれたことがあります。

税務職員や税理士の立場からすると「そんなことあるわけない」と即答するような調査内容だったですが、一般の納税者の方はそうはいきません。

「脱税で逮捕」といったニュースが世間を賑わせると、不安になるのも仕方がないもの。

今回は税務調査と逮捕についてのお話です。

税務署の調査で逮捕されることはまずない

逮捕、と聞くと、警察官に手錠をはめられ連行される、というようなイメージですよね。

脱税での逮捕は、検察へ告発を行い、告発を受けた検察官が捜査を進め脱税や不正の疑いが濃厚な場合になされます。

ですが税務署の調査で逮捕されるようなことはまずありません。

税務署の中で検察と連携するようなノウハウはなく、税務署の調査官が調査をしている限りは逮捕されるようなことはないでしょう。

逮捕されるのは査察の調査

税務署の調査で逮捕される心配はまずありません。しかし、脱税額が巨額だったり、悪質性が高いと判断されると、国税局の査察部(いわゆるマルサです)が「強制調査」を行います。

「強制調査」には拒否権はなく、また告発が目的となるため、逮捕される可能性は高まります。

国税庁のHPに「令和5年度査察の概要」という資料が掲載されています。

令和5年度は着手件数154件、告発件数101件、うち所得税案件は14件です。個人事業主も14名が告発されています。

1件当たりの脱税額は着手事案で7,900万円、告発事案で8,800万円。
逮捕される基準額、というものはないんですが、このくらいの脱税額だと査察が乗り出すという一つの目安にはなるんじゃないでしょうか。

この資料、どういった内容で、どういった経緯で事件化したのかという概要も載っています。興味があればご覧いただければと思います。

終わりに

税務署の行う調査で逮捕されることはありません。世間的に公表されるようなこともありません。

しかし調査が入れば多額の追徴を受ける可能性もありますし、反面調査で取引先に調査を受けていることがバレる恐れもあります(さすがに内容までは言いませんが)。

適正な申告を心掛けるようにしましょう。