
こんにちは!千葉のフリーランス・個人事業主専門の税理士、福地です。
株式投資として、株の売買を行っている方も多いかと思います。
今回は株を売ったときの税金について解説します。
株を売ったときの税金
株式、投資信託の受益権、公社債などを売った際の税金は「上場株式等に係る譲渡所得等の金額」と「一般株式等に係る譲渡所得等の金額」に区分し、事業所得や給与所得などの他の所得と分離(分離課税)して計算します。
株式等の譲渡所得は
譲渡による総収入金額ー(取得費+売買手数料等)
で計算します。
譲渡の経費になる手数料は売買に関するものだけで、業者に支払う管理手数料は含まれませんので注意ください。
株を売ったら赤字になったけど申告はした方がいい?
株式を売って赤字に(譲渡損失)となった場合、原則としてその譲渡損失についての確定申告は必要ありません。赤字の場合、税金が発生しないからです。
また、上場株式等に係る譲渡損失の金額を一般株式等に係る譲渡所得等の金額から控除することはできません。
ただし、上場株式に係る譲渡損失の金額は、確定申告をすることで、申告分離課税を選択した上場株式等配当等と損益通算することができます。
その他、配当等が無い場合の損失や、配当等と損益通算してもまだ損失が残った場合は、翌年以後3年間にわたり、確定申告により上場株式等に係る譲渡所得の金額及び上場株式等に係る配当所得等の金額から繰越控除することができます。
この特例を受けるためには、一定の明細書等を添付した確定申告書の提出が必要です。
※要注意!
その後の年において連続して「所得税及び復興特別所得税の確定申告書付表(上場株式等に係る譲渡損失の損益通算及び繰越控除用)」の添付のある確定申告書を提出することが必要です。
上場株式等の譲渡がなく、他に申告する理由がない年であっても、損失を繰り越すためだけの申告が必要になります。
この規定を知らず、間が空いてしまったことで繰越損失ができない方が大勢いらっしゃいました。
もったいないですからね。しっかり申告して繰越損失の適用を受けるようにしましょう!
特定口座(源泉徴収有)での売買の場合
確定申告をするかしないかを選択する
源泉徴収を行う特定口座での株式の譲渡については、確定申告をするかしないかは任意となります。
株式の譲渡は分離課税で、申告をした場合の税率と同じ率が源泉徴収され、課税関係が終了するためです。
申告することで所得控除を引くことができる場合や、他の口座での譲渡損益と相殺する場合、繰越控除の適用を受ける場合等には確定申告をすることによって有利になるので、申告をした方が良いでしょう(ただし、地方税との兼ね合いに注意!)。
修正申告等での選択替えはNG
源泉徴収を行う特定口座での株式の譲渡については、当初の申告で申告を忘れたものを修正申告や更正の請求で入れたり、逆に当初に申告したものを抜いたりすることはできません。選択替えはできないこととされています。
ただし、確定申告期限内であればやり直し(訂正申告といいます)は可能です。
地方税への影響に注意!
源泉徴収を行う特定口座での株式の譲渡について、確定申告をすることを選択した場合、住民税や国民健康保険などの算定にも影響します。国民健康保険・後期高齢者医療保険については、保険証の負担割合に影響が出る可能性もあります。
確定申告の期限は原則3月15日で、地方税の通知書が届くのは6月~7月ごろ。
気付いた時にはもうやり直しができず、損をしてしまうことがあります。
場合によっては、確定申告をする前に市役所等へ相談することも検討してください。
【編集後記】
繰越損失と地方税への影響については特に注意が必要です。